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織姫神社(桐生市)

(おりひめ じんじゃ)

桐生の織物文化を今に伝える

織姫神社は、群馬県桐生市織姫町に鎮座する神社で、地域の織物産業の歴史と深い関わりを持つ由緒ある存在です。明治28年(1895年)、当時の日本織物株式会社(のちの富士紡績株式会社)によって、川内町の白瀧神社から現在地へ勧請されました。近代化の波に乗り発展を遂げた桐生の織物業とともに歩んできた神社であり、産業の守り神として大切にされてきました。

白瀧姫像と人形師・安本亀八

この神社のご神体は、等身大で制作された白瀧姫の立像です。平成12年(2000年)の補修調査によって、この像が幕末から明治期にかけて活躍した名人形師安本亀八の作であることが判明しました。安本亀八は、生きているかのような精緻な表現で知られる「生人形」の名手として高い評価を受けた人物です。白瀧姫像もまた、その卓越した技術がうかがえる作品であり、公開の際には多くの人々の関心を集めました。

旧織姫神社と近代産業の記憶

現在の神社の近くには、かつて日本織物株式会社の敷地内に建立された旧織姫神社が残されています。明治期に設立されたこの神社は、会社の繁栄と発展を願って創建されたもので、桐生の近代産業史を今に伝える貴重な史跡です。社殿や碑などの遺構からは、当時この地に広がっていたノコギリ屋根の工場群や、活気あふれる織物産業の様子を想像することができます。

白瀧神社と白瀧姫伝説

桐生の織物文化を語るうえで欠かせないのが、川内町に鎮座する白瀧神社です。ここには、京都から織物技術を伝えたとされる白瀧姫が祀られています。伝説によれば、はるか昔、京都に仕えた上野国の男性が宮中の白瀧姫と結ばれ、郷里へ伴って戻りました。姫はそこで養蚕や機織りの技術を人々に伝え、その技はやがて桐生織として花開いたといわれています。

神秘を伝える境内の見どころ

白瀧神社の境内には、「降臨石」と呼ばれる巨石があります。かつては耳を当てると機を織る音が聞こえたという伝承が残り、白瀧姫の存在を今に伝える象徴的な場所となっています。また、本殿の背後には樹齢三百年以上とされる大ケヤキがそびえ、静かな森の中で神聖な雰囲気を醸し出しています。

受け継がれる太々神楽

白瀧神社では、古くから白瀧神社太々神楽が奉納されています。江戸時代の面を今に伝えるこの神楽は、地域の人々によって大切に継承されてきました。一時は衰退の危機に直面しましたが、戦後、地元有志の尽力により復興し、現在も保存会によって守り伝えられています。笛や太鼓の音色に合わせて舞われる神楽は、桐生の歴史と信仰を感じさせる貴重な民俗芸能です。

織物のまち・桐生を歩く楽しみ

織姫神社と白瀧神社は、ともに桐生の織物文化を象徴する存在です。神社を巡ることで、古代の伝説から近代産業の発展に至るまで、桐生が歩んできた歴史の流れを感じることができます。周辺には公共施設や歴史を伝える碑も点在しており、街歩きを通して地域の物語に触れることができるでしょう。

桐生を訪れた際には、これらの神社に足を運び、織物とともに生きてきた人々の想いに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。静かな境内に立つと、今もなお機の音がどこからか聞こえてくるような、不思議な感覚を覚えることでしょう。

Information

名称
織姫神社(桐生市)
(おりひめ じんじゃ)

桐生・赤城

群馬県