草木湖は、群馬県みどり市東町を流れる渡良瀬川上流部に建設された草木ダムによって誕生した人造湖です。1977年(昭和52年)のダム完成とともに生まれたこの湖は、総貯水容量約6千万トンを誇り、利根川水系でも屈指の規模を有しています。2005年には「ダム湖百選」にも選ばれ、自然と調和した美しい景観が高く評価されています。
湖は足尾の山々に抱かれるように広がり、四季折々に異なる表情を見せてくれます。静かな湖面に映る山並みや空の色は訪れる人の心を穏やかにし、みどり市を代表する景勝地として親しまれています。
春になると湖畔には桜や花桃が咲き誇り、やわらかな彩りが広がります。みどり市東町地区では花桃の植栽が進められており、4月には神戸駅周辺をはじめ各所で花桃祭りが開催されます。湖面に映る花々と残雪の山並みの対比は、写真愛好家にも人気の風景です。
夏の草木湖では、キャンプ場やボート乗り場がにぎわいを見せます。カヌーやSUPなどの水上アクティビティを楽しむことができ、澄んだ空気と湖風が心地よい時間を演出します。8月には「草木湖まつり」が開催され、湖上で打ち上げられる花火が夜空と水面を鮮やかに染め上げます。
秋には足尾から高津戸峡へと続く渡良瀬川流域が紅葉に包まれます。赤や黄金色に染まった山々が湖面に映り込み、幻想的な風景が広がります。湖周は約12.4kmあり、遊歩道を歩きながらゆったりと紅葉狩りを楽しむことができます。
冬の晴天時には、湖越しに冠雪した日光連山を望むことができます。澄み切った空気の中で見る白銀の峰々は格別で、静寂に包まれた湖畔は凛とした美しさに満ちています。
草木湖周辺には東町総合運動公園が整備され、野球場や各種運動施設が設けられています。ここを起点に湖畔を巡る遊歩道が整備されており、ハイキングコースとしても人気があります。
村道を進むと滝ノ上橋があり、木立の間からしぶきを上げて落ちる不動滝を望むことができます。さらに緩やかな坂を上るとダムサイトに到着し、視界が一気に開けて青く広がる湖面と足尾の山々の雄大な景観が目の前に広がります。
途中には赤く塗られた草木橋があり、湖面に映る姿は印象的な撮影スポットとなっています。また、この地域はミカゲ石の産地としても知られ、採石場や加工場が点在しているのも特徴です。
湖畔にはみどり市立富弘美術館があり、地元出身の画家・詩人である星野富弘氏の作品が展示されています。口に筆をくわえて描かれた透明感あふれる草花の水彩画と、心に響く詩が一体となった「詩画」の世界は、多くの来館者に感動を与えています。1991年の開館以来、県内外から多くの観光客が訪れる代表的な文化施設です。
「うさぎとかめ」「金太郎」などの童謡を作詞した石原和三郎の功績を顕彰する施設です。写真や自筆原稿、童謡パネルなどが展示され、どこか懐かしい日本の情景を思い起こさせてくれます。
静寂な空間の中で、良寛の書と古常滑の大壷が織りなす美の世界を鑑賞できます。日本や東南アジアの陶磁器も展示され、落ち着いた雰囲気の中で芸術に触れることができます。
湖の上流には足尾銅山跡が広がり、荒々しい岩肌が続く松木渓谷は「日本のグランドキャニオン」とも呼ばれています。現在は立ち入りが制限されていますが、足尾砂防ダム周辺からその景観を望むことができます。
草木湖右岸には国道122号が通り、日光方面へと続く風光明媚なルートとなっています。わたらせ渓谷鐵道も湖畔を走り、鉄道を利用したウォーキングやダム見学も楽しめます。桐生市から日光市へ至るこの道路は、群馬県内でも有数の観光ドライブコースとして人気があります。
草木湖を形成する草木ダムは、高さ140mの重力式コンクリートダムで、洪水調節や上水道・工業用水の供給、水力発電など多目的に活用されています。首都圏への重要な水源として機能しながら、地域の観光資源としても大きな役割を担っています。
お車の場合は、北関東自動車道・太田藪塚ICから約70分、東北自動車道・佐野藤岡ICから約100分です。公共交通機関ではJR両毛線桐生駅または東武桐生線相老駅からわたらせ渓谷鐵道に乗り換え、神戸駅下車後、徒歩またはバスをご利用ください。
草木湖は、水資源としての重要な役割を果たすと同時に、四季折々の自然や文化施設を楽しめる観光地でもあります。湖畔を歩けば、静かな水面と山々の景色が日常の喧騒を忘れさせてくれるでしょう。自然、歴史、文化が調和した草木湖で、心安らぐひとときをお過ごしください。