群馬県 > 桐生・赤城 > 桐生織物記念館

桐生織物記念館

織都・桐生の歴史と誇りを伝える産業遺産

群馬県桐生市にある桐生織物記念館は、1300年以上の伝統を誇る桐生織の歴史と技術、そして産地の歩みを今に伝える象徴的な建築物です。昭和初期に建てられた重厚な洋風建築は、かつて桐生織物業界の中枢として機能し、産地の発展を力強く支えてきました。現在は観光拠点として整備され、桐生織の魅力を体感できる施設として多くの来訪者を迎えています。

昭和モダンを伝える歴史的建築

旧館は昭和9年(1934年)、当時の桐生織物同業組合の事務所として建設されました。外壁には当時流行したスクラッチタイルが張り巡らされ、青緑色の洋瓦を載せた屋根が印象的な外観を形づくっています。木造2階建ての建物は洋風の意匠を取り入れながらも落ち着いた佇まいを見せ、昭和初期の繁栄を今に伝えています。

2階の旧大広間にはステンドグラスが配され、当時としてはモダンで先進的な空間が広がっています。こうした建築的価値が評価され、平成9年(1997年)には国の登録有形文化財に登録されました。さらに、近代化産業遺産や日本遺産「かかあ天下―ぐんまの絹物語―」の構成文化財にも認定され、文化的・歴史的な意義が広く認められています。

桐生織躍進の“作戦本部”

この建物は、桐生織の大躍進を支えた「桐生織物同業組合」の旧事務所跡です。昭和恐慌後の不況をいち早く乗り越え、昭和10年前後に隆盛期を迎えた桐生織。その戦略や取引、品質管理の中心となったのがこの場所でした。まさに産地の“作戦本部”といえる存在です。

当時、電話交換手やタイプライター事務員として活躍したのは、「職業婦人」と呼ばれた先進的な女性たちでした。彼女たちは事務や情報伝達を担い、陰ながら産地を支えました。こうした人々の努力の積み重ねが、桐生を「織都」と呼ばれるまでに発展させたのです。

観光拠点としての再生

新織物会館の竣工後、旧館は貸室などとして利用されましたが、平成13年(2001年)に「桐生織物記念館」と改称され、観光客の受け入れと産地製品の発信拠点として再出発しました。さらに平成24年(2012年)には2階に資料展示室が整備され、産業観光の中核施設としての機能が強化されました。

レトロな外観と重厚な内装は高く評価され、映画やドラマのロケ地としても活用されています。建物そのものが歴史を語る存在であり、訪れるだけでも昭和の面影を感じることができます。

1階 織物販売場 ― 産地ならではの逸品に出会う

1階は桐生織製品の販売場となっており、右側の「織匠の間」では和装品や帯、小物などを取り扱っています。定期的に展示会も開催され、産地の新作や特色ある製品を間近で見ることができます。

左側の販売スペースでは、洋装向けの繊維製品や服地、インテリア生地、テキスタイルの切り売りなども行われています。桐生織シルクネクタイやジャカード織のスカーフ・ストール、金襴の御朱印帳、バッグやポーチ、和生地やハギレなど、品揃えは多彩です。産地直販ならではの魅力があり、素材や柄にこだわった製品を手に取って選ぶ楽しさがあります。

また、染色用の白スカーフやシルク素材も扱っており、草木染めなど創作活動を行う方にも好評です。伝統技術を身近に感じられる空間として、観光客だけでなく地元の人々にも親しまれています。

2階 資料展示室 ― 1300年の歴史を体感

2階の資料展示室では、桐生織の伝統技術や製造工程を、実物の道具や機械、作品とともに紹介しています。八丁撚糸機や機織り機の展示をはじめ、七つの技法(御召織・緯錦織・経錦織・風通織・浮経織・経絣紋織・綟り織)についても分かりやすく解説されています。

和装用の着物や反物、洋装用生地、輸出織物見本帳、古い旗や資料文献なども展示され、古代から現代に至る桐生織の歩みを総合的に学ぶことができます。ビデオや資料ライブラリーも設けられ、説明員による解説を通じて理解を深めることができます。

桐生という土地とともに歩む産地

桐生市は赤城山を望み、桐生川と渡良瀬川に挟まれた自然豊かな盆地に発展した町です。古代から養蚕が盛んで、その環境が桐生織の発展を支えました。白滝姫伝説に象徴されるように、織物はこの地の歴史と文化に深く根付いています。

「西の西陣、東の桐生」と称されるほど名声を高めた桐生織は、近代には工場制手工業やジャカード織機の導入など先進的な取り組みによって発展しました。現在も多品種少量生産の総合産地として、伝統と革新を両立させながら新たな製品づくりに挑戦しています。

織都の物語を感じる場所

桐生織物記念館は、単なる展示施設ではなく、産地の誇りと挑戦の歴史を体感できる場所です。重厚な建物の中で機械の音や職人の技に思いを馳せれば、日本のものづくりの精神が鮮やかによみがえります。

桐生を訪れた際には、ぜひこの記念館に足を運び、織都の歩みと未来への可能性を感じてみてください。そこには、長い歴史を紡ぎ続けてきた人々の情熱と、今もなお息づく伝統の力が満ちています。

Information

名称
桐生織物記念館

桐生・赤城

群馬県