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旧 花輪小学校 記念館

(きゅう はなわ しょうがっこう きねんかん)

木造校舎に息づく郷土の誇りと学びの記憶

旧花輪小学校記念館は、群馬県みどり市東町にある歴史的建造物を活用した展示施設です。1931年(昭和6年)に完成した木造校舎をそのまま保存・公開しており、2001年(平成13年)11月20日には国登録有形文化財に登録されました。

明治6年(1873年)に開校した旧花輪小学校は、地域の教育を長年支えてきた伝統ある学校です。2001年に統廃合により閉校となりましたが、地域の強い保存活動により、2003年に記念館として生まれ変わりました。そして2023年8月1日にはリニューアルオープンを迎え、展示内容がさらに充実しました。

昭和初期の面影を残す美しい木造校舎

現存する校舎は、日本鋼管(現・JFEホールディングス)の創立者であり「日本の製鋼・鋼管技術の先駆者」と称される今泉嘉一郎の寄付によって建て替えられたものです。木造2階建、切妻造、フランス瓦葺、下見板張りの外観は、昭和初期の洋風校舎建築の特徴をよく伝えています。

北面片廊下形式で、正面中央には玄関ポーチが張り出し、腰折れ屋根窓や屋根上の独特な換気口など、造形的にも優れた意匠が随所に見られます。特に屋根上の換気口は県内でも類例が少なく、建築的価値の高い特徴とされています。

2023年のリニューアルでは、2階廊下や一部教室の竿縁天井が復元され、より当時の姿に近い空間がよみがえりました。校舎に一歩足を踏み入れると、まるで昭和初期へタイムスリップしたかのような懐かしい空気に包まれます。

郷土が誇る二人の偉人

旧花輪小学校は、地域にとって誇り高い人物を輩出しました。その一人が今泉嘉一郎です。産業界で活躍しながらも郷里を思い、校舎建設費を寄付した功績は、今も語り継がれています。敷地東側には、昭和11年に建立された今泉嘉一郎の胸像所があり、その功績を称えています。設計は建築家・伊東忠太によるものと伝えられ、花崗岩製の重厚な造りが印象的です。

もう一人は、「童謡の父」と称される石原和三郎です。童謡「うさぎとかめ」や「金太郎」の作詞者として広く知られ、当校の校長も務めました。石原と学校との結びつきは深く、地域の子どもたちに文化と教育の大切さを伝えました。

充実した展示内容 ― 学びと体験の空間

1階展示

1階には企画展示室、今泉嘉一郎に関する展示室、教育資料室などが設けられています。明治から平成に至る教育年表や歴代教科書の展示は、時代ごとの教育の変遷をわかりやすく伝えています。

廊下には、日本最初の学校給食(明治22年、山形県)を再現したサンプルをはじめ、時代ごとの給食模型が並び、子どもから大人まで興味深く見学できます。

2階展示

2階には昭和初期や昭和時代の教室を再現した展示室があり、木製机や黒板が並ぶ空間は郷愁を誘います。イベント時には実際に座ることもでき、往時の学び舎を体感できます。

石原和三郎に関する資料を展示する「童謡の部屋」では、童謡ふるさと館から移設された資料やオルゴールなどが展示され、親子で楽しめる空間となっています。

さらに、足尾線(現在のわたらせ渓谷鐵道)の歴史を紹介する鉄道資料展示室も設けられ、神土駅待合室の再現展示など、地域交通の歩みも学ぶことができます。

門柱と建築遺構の魅力

校門の花崗岩製門柱は高さ約3メートルあり、「大正五年二月建之」の刻銘が残されています。校舎とともに長い歴史を刻んできた存在であり、道路拡幅に伴い現在地へ移設されましたが、当時の面影を今に伝えています。

地域とともに未来へ

閉校後も地域の努力によって保存・公開が実現した旧花輪小学校記念館は、単なる建築保存にとどまらず、地域の誇りと記憶を次世代へ伝える大切な拠点です。

木造校舎の温もり、教室に差し込む柔らかな光、廊下に響く足音。そのすべてが、かつてここで学んだ子どもたちの息づかいを今に伝えています。みどり市を訪れた際には、ぜひ足を運び、郷土の歴史と人々の思いが重なり合うこの特別な空間をご体感ください。

Information

名称
旧 花輪小学校 記念館
(きゅう はなわ しょうがっこう きねんかん)

桐生・赤城

群馬県