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みどり市立 富弘美術館

(とみひろ びじゅつかん)

群馬県みどり市に位置するみどり市立富弘美術館は、詩人・画家である星野富弘の作品を中心に展示する美術館です。この美術館は、道の駅富弘美術館の敷地内にあり、多くの訪問者に愛されています。熊本県には姉妹館として芦北町立星野富弘美術館も存在します。

美術館の概要

みどり市立富弘美術館は、星野富弘が描いた詩画作品を展示するために設立されました。彼は、群馬県勢多郡東村(現在の群馬県みどり市)出身であり、その独自の視点と感性が反映された作品が多数展示されています。館内のデザインは、正方形の外観に円形の部屋が組み込まれた特徴的な構造を持っています。

開館の経緯

この美術館は、ふるさと創生資金を利用して、かつて老人福祉施設として使用されていた建物を改装する形で誕生しました。星野富弘の作品は「花の詩画展」やテレビ番組、教科書に取り上げられるなど、すでに広く知られており、美術館の開館当初から多くの入場者が訪れました。大手旅行代理店も日光や太平山、あしかがフラワーパークなどの近隣観光地と組み合わせたパッケージツアーを企画するなど、その人気は高まりました。

2002年には、入館者数が400万人を超えるまでになりました。しかし、当時の施設は古く、手狭であったため、新しい美術館の建設が計画されました。2005年4月16日、新しい富弘美術館が開館し、旧館は解体され、その跡地には前庭や草木湖へ続く散策路が整備されました。また、この新館は、2006年に第58回日本建築学会賞の作品賞を受賞しています。

星野富弘:口に筆をくわえ、生命の輝きを描き出した詩人・画家

不幸にも襲われた青年と、花との出会い

1946年4月24日、群馬県に生まれた星野富弘は、若き日から中学校の体育教師として生徒たちに寄り添い、指導を続けていました。しかし、ある日、体操指導中に悲劇が訪れます。突然の事故により、彼は首から下の自由を完全に失うという深刻な状況に陥ります。この出来事は、彼にとって想像を絶する苦しみと絶望をもたらしました。

星野が入院生活を送る中、彼の心を支えたのは、病院の窓から見える四季折々の花々でした。花々の美しさと力強さが、彼の心に新たな光を灯し、再び希望を見出すきっかけとなりました。この花との出会いが、彼の人生における転機となったのです。

口に筆をくわえ、新たな表現の世界へ

入院生活が続く中、星野は自らの意思で新たな挑戦を始めます。彼は口に筆をくわえ、少しずつ絵を描き始めました。最初は簡単な線画に過ぎませんでしたが、次第に色彩豊かで力強い作品が生まれるようになります。その作品には、彼の内なる感情や生命への賛歌が込められており、見る者の心を揺さぶる力を持っていました。

また、彼は絵画だけでなく、詩作にも挑戦し始めます。口と筆という限られた道具を使って、彼は自らの思いを詩として綴り、その詩と絵画を組み合わせた「詩画」という独自の表現を確立しました。彼の作品は、言葉と絵が一体となって生命の尊さや美しさを描き出し、多くの人々に感動を与えています。

花の詩画展と富弘美術館

星野富弘の作品は、多くの人々の心を捉え、その感動は広がり続けました。1982年、彼は高崎で初の「花の詩画展」を開催し、その後も国内外で数多くの展覧会が開かれることになります。彼の詩画は、困難な状況にあっても希望を捨てず、生きる喜びや生命の尊さを伝えるものとして、広く受け入れられました。

1991年には、星野の故郷である群馬県に「富弘美術館」が開館しました。この美術館では、星野富弘の作品が常設展示されており、彼の芸術の世界を訪れる人々に深い感銘を与えています。また、美術館では関連するイベントや企画展も開催され、訪れる人々に星野の作品を通じて、生命の大切さや生きる意味を考える機会を提供しています。

星野富弘の作品が与える影響

星野富弘の作品は、単なる芸術作品にとどまらず、多くの人々に勇気と感動を与える力を持っています。彼の作品は、教科書に掲載されたり、合唱曲や歌曲の題材になったりと、様々な形で人々の心に届いています。その影響は、日常生活の中で困難に直面する多くの人々にとって、希望の光となっているのです。

生きる希望: 困難な状況にあっても、星野は希望を失わず前向きに生きる姿勢を貫きました。その姿勢は、多くの人々に勇気を与え、自らの困難を乗り越える力をもたらしています。

生命の尊さ: 花々への深い愛情と、生命の尊さを描いた作品は、私たちに生きる喜びと共に、生命そのものの尊さを再認識させてくれます。彼の作品を通じて、私たちは日々の生活の中で忘れがちな生命の大切さを思い起こすことができます。

心の癒し: 自然を描いた星野の作品は、その優しさと温かさで観る人の心を癒します。花々の美しさや自然の持つ力強さが、心の中に静かな安らぎをもたらし、穏やかな気持ちにさせてくれるのです。

代表作

星野富弘の作品には、いくつかの代表作があります。これらの作品は、彼の心の軌跡や自然との対話を詩画という形で表現したものであり、多くの人々に感動を与え続けています。

『愛、深き淵より。』: 事故後の彼の心の軌跡を詩として綴った詩集です。深い悲しみと再生への希望が込められたこの作品は、読む者の心に深く響きます。

『四季抄 風の旅』: 四季折々の自然を描いた詩画集です。自然との対話を通じて、星野が感じた生命の輝きや美しさが詩と絵画によって表現されています。

『あなたの手のひら』: 手のひらに収まるような小さな花々を描いた詩画集です。小さな存在にも生命の尊さが宿っていることを教えてくれる、温かみのある作品です。

まとめ

星野富弘は、口に筆をくわえながらも、自らの困難を乗り越え、素晴らしい作品を世に送り出してきた詩人・画家です。その作品は、生命の尊さや生きる喜びを表現し、多くの人々に希望と感動を与え続けています。星野富弘の作品に触れることで、私たちは自らの生命に対する感謝の気持ちを新たにし、日々の生活における喜びや希望を見出すことができるでしょう。

沿革

利用案内

所在地

群馬県みどり市東町草木86

開館時間と休館日

開館時間:午前9時から午後5時まで(入館は午後4時30分まで)
休館日:4月から11月末日までは無休、12月から3月までの月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)、12月26日から1月4日、その他展示替えのための臨時休館あり

入館料

施設案内

美術館には展示室やミュージアムショップ、ビデオルーム、情報コーナー、カフェなどが完備されています。また、「空のへや」や「海のへや」といった特色ある展示空間もあります。美術館の周辺には、前庭や散策路、親水エリアなどが整備されており、訪れる人々が自然を楽しみながら過ごすことができます。

交通アクセス

公共交通:
鉄道では、わたらせ渓谷鐵道わたらせ渓谷線 神戸駅から路線バスで約10分、もしくは徒歩で約1時間の距離にあります。路線バスは「富弘美術館」バス停で下車します。
自動車:
北関東自動車道伊勢崎ICより約45分、関越自動車道赤城ICより約1時間20分、東北自動車道宇都宮ICより日光宇都宮道路経由で約1時間20分、東北自動車道佐野藤岡ICより約1時間20分でアクセス可能です。

周辺の観光地

美術館の周辺には、草木湖や国民宿舎サンレイク草木、草木ドライブインなどの観光スポットがあります。これらの施設と併せて訪れることで、より充実した観光体験が得られるでしょう。

Information

名称
みどり市立 富弘美術館
(とみひろ びじゅつかん)

桐生・赤城

群馬県