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わたらせ渓谷鐵道

(けいこく てつどう)

わたらせ渓谷鐵道は、群馬県と栃木県を結ぶ特定地方交通線である足尾線を引き継いで運営している第三セクターの鉄道事業者です。この企業は、旧足尾線を現在の「わたらせ渓谷線」として運行しており、地元住民や観光客に広く親しまれています。

企業の名称と通称

わたらせ渓谷鐵道は、「わ鐵」と呼ばれることが一般的です。地元住民の中には、愛着を込めて「わた渓」と呼ぶ人もおり、さらに古くから住む方々は、かつての名称である「足尾線」と呼び続けている場合もあります。

会社の歴史

1988年 - 1989年: 設立と初期の展開

1988年(昭和63年)3月29日、第9回協議会において、足尾線を第三セクター鉄道に転換することが決定され、同年10月25日にわたらせ渓谷鐵道株式会社が設立されました。翌1989年(平成元年)3月29日、東日本旅客鉄道(JR東日本)から足尾線を転換し、わたらせ渓谷線として正式に開業しました。この路線の終点は、桐生駅から間藤駅までの44.1 kmにわたり、多くの利用者にとって欠かせない交通手段となっています。

1990年代: 地元との連携

1990年代には、沿線地域との連携を深めるための取り組みが進められました。1992年(平成4年)には下新田駅が新設され、1996年(平成8年)には神戸駅構内に列車のレストラン「清流」がオープンしました。さらに、1998年(平成10年)10月10日には、トロッコ列車「トロッコわたらせ渓谷号」が運行を開始し、多くの観光客を引き付けるようになりました。

2000年代: さらなる発展

2000年代には、沿線地域の発展を促進するための様々な取り組みが行われました。2008年(平成20年)12月28日に水沼駅温泉センター「せせらぎの湯」が休業しましたが、翌2009年(平成21年)4月26日には外部委託により営業が再開されました。また、2010年(平成22年)には、イメージキャラクター「わ鐵のわっしー」が発表され、2012年(平成24年)にはトロッコ列車「トロッコわっしー号」が運行を開始しました。

路線と駅

わたらせ渓谷線は、桐生駅から間藤駅までの44.1 kmの区間を走行しており、その間に12の無人駅があります。これらの無人駅のうち、8駅には地元住民からの公募によって選ばれたボランティア駅長「ふるさと駅長」が配置されており、地元と密接な関係を築いています。しかし、2023年9月現在、運動公園駅、本宿駅、水沼駅、中野駅の4駅にはふるさと駅長が不在であり、ボランティア駅長を随時募集しています。

車両とその特徴

現有車両

わたらせ渓谷鐵道では、2022年2月1日現在、気動車9両、客車4両、ディーゼル機関車2両の計15両が在籍しています。これらの車両は、大間々駅構内にある車両基地で管理されており、同駅にはわたらせ渓谷鐵道の本社も併設されています。

気動車

気動車には、トイレ付き・セミクロスシート仕様のわ89-310形や、トイレなし・ロングシート仕様のWKT-500形、セミクロスシート仕様のWKT-510形、トイレ付き・クロスシート仕様のWKT-520形などがあり、それぞれ異なる仕様と愛称を持っています。また、トロッコ型車両であるWKT-550形は、トロッコ列車「トロッコわっしー号」に使用され、観光客に人気があります。

客車

わ99形は、トロッコ列車「トロッコわたらせ渓谷号」に使用される4両編成の客車で、JR東日本から購入したスハフ12形客車を改造したものや、京王電鉄から購入した初代5000系電車を改造したものが含まれます。各客車には「かわせみ」や「やませみ」といった愛称が付けられ、親しみを持って利用されています。

ディーゼル機関車

ディーゼル機関車DE10形は、トロッコ列車「トロッコわたらせ渓谷号」の牽引に使用されており、そのうちの1537号機はあかがね色に金帯の外観に変更されています。

過去の車両

過去に運行されていた気動車としては、転換開業時に導入されたわ89-100形、わ89-200形、わ89-300形がありましたが、これらの車両はすべて廃車されました。また、2001年に導入されたお座敷列車「サロン・ド・わたらせ」は、JR東日本から購入した12系改造の和風客車で、2009年に全車が廃車となりました。

車体デザイン

わたらせ渓谷鐵道の車体は、茶色(あかがね)を主体としたデザインで、阪急マルーンに似た塗装色を持っていますが、これは別の色です。このデザインは、マンボミュージシャンとしても知られるパラダイス山元氏が、富士重工業に工業デザイナーとして勤務していた際に手がけたもので、車体のカラーリングやヘッドマーク、動物イラストの銘板、会社ロゴ、社章などが含まれます。

わたらせ渓谷鐵道を舞台とした作品

わたらせ渓谷鐵道やその周辺地域は、映画やドラマの舞台としても度々登場しています。例えば、映画『僕達急行 A列車で行こう』や『天使の恋』、ドラマ『相棒』シリーズなどで、その美しい自然景観とともに紹介されています。

Information

名称
わたらせ渓谷鐵道
(けいこく てつどう)

桐生・赤城

群馬県