上毛野はにわの里公園は、群馬県高崎市井出町・保渡田町にまたがる広さ約12.9ヘクタールの歴史公園です。榛名山の南東麓に広がる自然豊かな地に整備され、古代の古墳文化と近現代の文学をあわせて体感できる、全国的にも特色ある文化公園として親しまれています。
園内には国指定史跡である保渡田古墳群をはじめ、かみつけの里博物館、群馬県立土屋文明記念文学館、土屋文明歌碑、山村暮鳥詩碑などが点在し、歴史と芸術が融合した散策空間が広がっています。
保渡田古墳群は、5世紀後半から6世紀初めにかけて築造された大型前方後円墳群で、昭和60年9月3日に国の史跡に指定されました。榛名山麓を治めた有力豪族の墓と考えられ、井出二子山古墳、保渡田八幡塚古墳、保渡田薬師塚古墳の順に、およそ30年ほどの間に築かれたと推定されています。
なかでも八幡塚古墳は、発掘調査の成果をもとに約1500年前の姿に復元された貴重な古墳です。墳丘長102メートルを誇り、周囲には二重の周濠が巡らされています。墳丘には葺石が施され、円筒埴輪が整然と並ぶ様子が再現されています。
特に注目されるのは、内堤の一角に復元された人物・動物の形象埴輪群像です。武人や巫女、鷹匠といった人物像のほか、馬や鶏、猪、水鳥など多彩な動物埴輪が並び、当時の祭祀や社会の様子を今に伝えています。なかでも、魚をくわえた鵜形埴輪は、古墳時代にすでに鵜飼が儀礼的に行われていた可能性を示す資料として注目されています。
後円部には舟形石棺を安置したドーム施設があり、実物の石棺を見学できます。凝灰岩製の石棺は内部が赤く彩色され、古代の葬送儀礼の一端を感じることができます。
かみつけの里博物館では、榛名山麓に花開いた古代文化や保渡田古墳群の歴史を、9つのコーナーで分かりやすく紹介しています。模型や出土品、映像資料を通して、古墳時代の暮らしや信仰、技術について理解を深めることができます。
特別展示室や企画展示室ではテーマごとの展覧会も開催され、学びと発見の場として多くの来館者に親しまれています。
園内には、高崎市出身の歌人で文化勲章受章者でもある土屋文明の業績を顕彰する文学館があります。常設展示では「土屋文明―その作品と生涯―」をテーマに、代表作や直筆資料を通してその歩みを紹介しています。
館内には東京都南青山にあった自宅書斎が移築再現されており、創作の息遣いを身近に感じることができます。また、万葉時代から現代に至る短歌の世界を紹介する展示や、映像展示室も設けられています。文学に親しむきっかけを与えてくれる静かな空間です。
公園内のはにわ工房では、八幡塚古墳に設置する円筒埴輪づくりを一般参加で体験することができます。古代の技法に触れながら、自らの手で埴輪を制作する体験は、歴史をより身近に感じさせてくれます。
また、150人が利用できる休憩棟も整備されており、団体利用や散策途中の休憩に便利です。芝生広場や遊歩道も整えられ、四季折々の自然を楽しみながらゆったりと散策できます。
・高崎駅から群馬バス榛東村役場行き「秋葉前」下車、徒歩約5分
・前橋駅から関越交通バス「群馬県立土屋文明記念文学館行き」乗車、「かみつけの里博物館」下車
・高崎駅から市内循環バスぐるりん利用、「井出町西」下車、徒歩約10分
・群馬支所から市内循環バスぐるりん「かみつけ線」、「かみつけの里博物館前」下車
上毛野はにわの里公園は、古墳時代の壮大な歴史と、近代文学の精神文化を同時に味わえる貴重な場所です。復元古墳の迫力、埴輪の素朴で力強い造形美、そして歌人たちの言葉の世界が一体となり、訪れる人々に深い感動を与えます。
歴史を学びたい方はもちろん、自然の中でゆったりと過ごしたい方にもおすすめの観光スポットです。榛名山を望むこの地で、悠久の時の流れに思いをはせてみてはいかがでしょうか。