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大室公園

(おおむろ こうえん)

大室公園は、群馬県前橋市西大室町および東大室町にまたがって整備された都市公園(総合公園)です。赤城山南麓の中央部、自然豊かな城南地区に位置し、雄大な赤城山を望む開放的な景観が広がっています。歴史的価値と自然環境の豊かさが評価され、「日本の歴史公園100選」にも選定されています。

園内には、国指定史跡である大室古墳群をはじめ、多彩なテーマゾーンや文化施設が整備されており、歴史と自然を同時に体感できる貴重な空間となっています。市民の憩いの場であるとともに、県内外から多くの来園者が訪れる観光スポットでもあります。

赤城南麓に広がる大室古墳群

赤城南麓の大豪族の威勢を今に伝える史跡

大室公園が位置する城南地区は、群馬県内でも特に遺跡の多い地域として知られています。なかでも6世紀に築かれた前二子古墳・中二子古墳・後二子古墳・小二子古墳は、総称して「大室古墳群」と呼ばれ、国の史跡に指定されています。

これらの前方後円墳は、赤城山南麓を治めた有力豪族の墓と考えられており、その規模や構造から当時の権勢の大きさをうかがい知ることができます。南北約500メートル、東西約1000メートルにわたる広大な範囲に古墳が点在し、歴史ロマンあふれる景観を形成しています。

前二子古墳 ― 黄泉の国への入口

前二子古墳は、明治11年(1878年)に石室の調査が行われたことで広く知られています。狭く長い石室内部の見学は、まるで黄泉の国へと足を踏み入れるかのような神秘的な体験です。

発掘調査では、土器や装身具、鏡、金メッキを施した馬具など、多数の副葬品が出土しました。当時は全国から約6000人もの見学者が訪れたと記録されており、英国外交官アーネスト・サトウも調査に立ち会うなど、大きな注目を集めました。

中二子古墳 ― 群を抜く規模と復元整備

中二子古墳は大室古墳群の中で最も規模が大きく、堂々とした姿を誇ります。内堀・中堤・外堀が全周し、墳丘は葺石で覆われていました。現在は失われた部分を復元し、当時の姿を再現しています。

復元された中堤には、盾持人埴輪や円筒埴輪が並べられ、古墳を守護していた様子が表現されています。壮大な古墳の構造を間近で観察できる点は、大室公園ならではの魅力です。

後二子古墳 ― 巧みな石室構造

後二子古墳も明治期に石室が開かれた古墳です。地中を掘り下げて石室を低く築くことで墳丘の盛土を節約するなど、合理的な築造技術が用いられていることがわかっています。

前庭部では、儀式に使われた煮炊きの跡や土器の出土状況が復元展示されており、古代の祭祀の様子を具体的に感じ取ることができます。

小二子古墳 ― 埴輪のデパート

全長38メートルの小規模な前方後円墳である小二子古墳は、2段築成の構造を持ち、後二子古墳と方向を揃えて築かれています。その関係性から、深いゆかりを持つ人物の墓と考えられています。

多様な埴輪が出土したことから「埴輪のデパート」とも称され、古墳文化の豊かさを象徴する存在です。

大室はにわ館と民家園

大室はにわ館

公園西部の民家園内には、土蔵を改装した小さな資料館「大室はにわ館」があります。館内では3D映像による大室古墳群の紹介が行われ、わかりやすく歴史を学ぶことができます。

市民ボランティアが制作した埴輪や土器の展示もあり、古墳時代の文化への理解を深めることができます。また、古代衣装のコスプレ体験も楽しめるなど、親しみやすい工夫が施されています。

民家園と旧関根家住宅

園内には、江戸時代末期の赤城型民家である旧関根家住宅(前橋市指定重要文化財)が移築復元されています。養蚕農家の暮らしを今に伝える建物で、内部見学も可能です。古代住居の復元展示もあり、時代を超えた生活文化の変遷を学ぶことができます。

自然と調和する多彩なゾーン

大室公園は歴史だけでなく、自然景観も大きな魅力です。園内には「風のわたる丘」「時の広場」「岩室ゾーン」「親水ゾーン」など、特色あるエリアが整備されています。

石の風鈴が設置された風のわたる丘では、風と音の調和を楽しむことができ、水時計のオブジェとカスケードがある時の広場では、水の流れが時間の移ろいを感じさせます。岩室ゾーンでは水琴窟の音色が響き、静かな趣を演出しています。

さらに、五料沼や親水ゾーンでは水生生物と触れ合うことができ、家族連れにも人気です。園内には前橋市指定天然記念物であるコナラもあり、豊かな自然が守られています。

四季折々の魅力

春の新緑、夏の青空、秋の紅葉とコスモス畑、冬の澄んだ空気と赤城山の眺望など、大室公園は一年を通して多彩な表情を見せます。特に秋には広大なコスモス畑が一面をピンク色に染め、多くの来園者でにぎわいます。

歴史散策と自然散策を同時に楽しめる点は、他の公園にはない大きな魅力といえるでしょう。

整備の歩み

昭和60年代から史跡整備計画が進められ、平成元年に整備委員会が組織されました。1991年から6年間にわたり発掘調査が行われ、その成果をもとに現在の公園として整備されました。学術的にも重要な調査が行われた古墳群として高く評価されています。

交通アクセス

自動車利用

北関東自動車道・波志江スマートインターチェンジから約3.6km(車で約10分)、伊勢崎インターチェンジから約5km(車で約10分)です。

公共交通機関

上毛電気鉄道大胡駅からタクシーで約10分、JR両毛線伊勢崎駅からタクシーで約20分です。

歴史と自然が融合する憩いの場

大室公園は、赤城南麓の豊かな自然と古墳時代の歴史が融合した特別な場所です。古代のロマンを感じながら散策し、四季の花々や赤城山の雄大な景色を楽しむことができます。

歴史好きの方はもちろん、家族連れや自然散策を楽しみたい方にもおすすめできる、前橋市を代表する総合公園です。

Information

名称
大室公園
(おおむろ こうえん)

高崎・前橋

群馬県