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黒瀧山 不動寺

(ふどうじ)

上州の奥ノ院と称される山岳霊場

黒瀧山不動寺は、群馬県甘楽郡南牧村大塩沢にある黄檗宗の寺院です。標高約870メートルの黒瀧山に抱かれ、滝しぶきが舞う岩壁のふもとに静かに佇む山寺として知られています。古くより「上州の奥ノ院」「厄除け不動」と称され、千年以上にわたり人々の篤い信仰を集めてきました。

奈良時代に始まる由緒ある歴史

不動寺の創建は奈良時代にさかのぼると伝えられています。高僧・行基がこの地を訪れ、自ら刻んだと伝わる金躰不動明王を安置する草庵を結んだことがその起源とされています。この不動明王像は現在も秘仏として大切に守られ、12年に一度、酉年に御開帳されます。

その後、室町時代に一時荒廃しましたが、延宝3年(1675年)に潮音道海禅師によって中興され、黄檗宗の寺院として再興されました。潮音禅師は江戸幕府第5代将軍・徳川綱吉公の帰依を受け、当寺は最盛期には200もの末寺を擁したと伝えられています。以来、厄除け不動の霊場として今日まで歴史を重ねてきました。

荘厳な境内と山岳信仰の面影

山門をくぐると、まず鐘楼が迎えてくれます。現在の鐘楼は昭和56年に再建されたもので、第二次世界大戦時に供出された旧鐘に代わるものです。平和への願いを込めて、戦艦「陸奥」の羅針盤が合鋳されていることでも知られています。参拝者は拝観時間内であれば自由に鐘を撞くことができます。

山門の先には不動堂があり、その背後には滝が流れ落ち、霊場ならではの厳かな空気が漂います。さらに奥へ進むと、本堂にあたる大雄宝殿、開山堂、黒瀧泉などが続き、自然と建築が調和した静寂幽玄の世界が広がります。

境内からの眺望は実に雄大で、晴れた日には南牧の山々が一望できます。夏でも涼風が吹き抜け、訪れる人々に心の安らぎと日本的な「わび・さび」の趣を感じさせてくれます。

黒瀧山の自然と三霊鳥

黒瀧山は古くから山岳信仰の対象とされてきました。山中には「黒瀧三霊鳥」と呼ばれる仏法僧、木魚鳥、慈悲心鳥が生息すると伝えられ、静かな山寺にその鳴き声が響き渡ります。また、多様な動植物が生息し、豊かな自然環境が守られています。

群馬県指定天然記念物「黒滝山の大スギ」

境内には、昭和27年11月11日に群馬県指定天然記念物となった黒滝山の大スギがあります。樹高約41メートル、胸高周囲7.2メートル、推定樹齢350年以上とされる堂々たる巨木です。

岩山が多く、必ずしも樹木の生育に適した環境とはいえないこの地で、数百年もの歳月をかけて育った姿は圧巻です。不動寺の歴史とともに時を刻み続けてきたこの大杉は、まさに霊場の象徴といえる存在です。

観光と参拝のご案内

黒瀧山不動寺へは、上信越自動車道・下仁田ICより車で約25分。南牧村観光の中心的な名所として、多くの参拝者や観光客が訪れています。春の新緑、夏の深緑、秋の紅葉、そして冬の澄み切った空気と、四季折々に異なる表情を楽しむことができます。

悠久の歴史と雄大な自然に包まれた黒瀧山不動寺は、単なる観光地ではなく、心を整え、日常を見つめ直すことができる特別な場所です。南牧村を訪れた際には、ぜひ足を運び、この霊場の静かな力を体感してみてはいかがでしょうか。

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名称
黒瀧山 不動寺
(ふどうじ)

富岡・下仁田

群馬県