神流町恐竜センターは、群馬県多野郡神流町に位置する、日本を代表する恐竜の専門博物館です。豊富な展示と体験プログラムを通じて、恐竜に関する知識を深めることができます。
神流町恐竜センターは、本館と活性化センター(別館)の2つの建物から構成されています。本館は博物館機能を持つ一階建ての施設で、恐竜に関する展示のほか、お土産売り場と食堂も併設されています。別館はモンゴルの寺院を模した三階建ての建物で、貴重な恐竜化石の展示が行われています。営業時間は午前9時から午後5時までで、月曜日が休館日です。
旧中里村(現在の神流町)は、村おこしの一環として「恐竜王国」をテーマに地域の活性化を図りました。その中心的な施設が、神流町恐竜センターです。「地元化石・モンゴル恐竜・おみやげ・お食事」をコンセプトに掲げ、多くの来場者を迎え入れています。
神流町恐竜センターの展示は、9つのゾーンに分かれています。Zone1から5、およびZone9は本館内にあり、Zone6から8は別館内にあります。展示内容は、多様な恐竜化石を中心に、地元で発見された化石や地質学的な解説を行っています。
本館では、山中地溝帯の地質学的な特徴を示す生痕化石や、地元で発見された化石を展示しています。また、世界各国から集められた恐竜や翼竜、水生生物の化石展示も充実しており、特に神流町で発掘された新たな化石が展示に加わるたびに、展示内容が更新されています。
別館2階のZone7では、モンゴルから提供された貴重な恐竜化石が展示されています。特に注目されるのは、体長8.5メートルのタルボサウルス全身復元骨格や、プロトケラトプスとヴェロキラプトルの格闘化石など、約20点の標本です。このモンゴル恐竜の展示は、中里村とモンゴルがかつて陸続きであったという学術的な背景を持ち、両地域の関係を象徴しています。
本館と別館を繋ぐ連絡通路には、ティラノサウルスの全長12メートルの実物大レプリカが展示されています。これは、MOR55(ワンケル・レックス)の右半身を再現したもので、訪問者はこの巨大な恐竜に触れたり、上に乗ることもできます。また、神流町恐竜センターでは化石発掘体験やレプリカ作成の体験講座が定期的に開催されており、実際に発掘された化石の一部が展示されています。
神流町恐竜センターのシンボルである「サンチュウリュウ」の実物大復元標本は、3体展示されています。これらの標本は、最初期のブロンズ像、1996年版生態復元模型、2014年版生態復元模型の3種類です。また、センターのマスコットキャラクター「サウルスくん」は、緑色の恐竜で、首に恐竜の足跡柄のスカーフを巻いています。サウルスくんは2013年に神流町のゆるキャラとなり、2014年には観光大使に任命されました。
1953年に中里村で道路工事中に発見された漣岩(れんがん)は、長い間謎の存在とされていましたが、1985年にこれが恐竜の足跡化石であることが判明しました。この発見をきっかけに、中里村では恐竜をテーマにした村おこしが始まり、「恐竜王国」が誕生しました。そして、1987年に中里村恐竜センターがオープンし、モンゴルとの協力により1996年には「モンゴル恐竜化石特別展」が開催されました。この特別展は大きな反響を呼び、終了後もモンゴル恐竜化石のレプリカが引き続き展示されています。
2003年に万場町と中里村が合併して神流町が誕生し、恐竜センターは「神流町恐竜センター」と改称されました。その後も施設は改修を続け、2019年にはリニューアルが行われました。この間に、化石発掘体験講座も開始され、センター内の展示物の充実が図られています。
神流町は、恐竜化石の発見地としても知られています。中でも、サンチュウリュウ(山中竜)は日本で3番目、関東では初めて発見された恐竜化石であり、モンゴルで発見されたガリミムスに似た未定種です。さらに、スピノサウルス類や竜脚類のティタノサウルス形類、獣脚類の化石も発見されており、これらの貴重な化石は神流町恐竜センターで展示されています。
神流町では、恐竜以外にも海洋生物や植物の化石が豊富に発見されており、特に瀬林の漣痕(さざ波岩)は群馬県指定の天然記念物となっています。瀬林の漣痕は、白亜紀の海辺に残された波の跡であり、2足歩行の恐竜の足跡も発見されています。これらの化石は、野外体験学習施設「化石発掘体験地」で実際に発掘体験が可能です。
神流町恐竜センターへのアクセスは、公共交通機関および車を利用できます。JR高崎線の新町駅から多野藤岡広域路線バス「かんながわ号」で約105分、恐竜センターで下車し徒歩1分です。車でのアクセスの場合、関越自動車道本庄児玉ICから約80分の距離にあります。また、恐竜センターの駐車場も利用可能です。
群馬県立自然史博物館は、神流町恐竜センターと連携しており、神流町で発見された化石を展示しています。自然史博物館では、ガリミムスの骨格標本や生態復元ロボットを展示しており、神流町恐竜センターとの展示内容に重複が見られることもあります。
神流町恐竜センターは、日本国内外の恐竜化石や地元で発見された貴重な化石を展示することで、訪れる人々に恐竜の世界を身近に感じさせる施設です。また、化石発掘体験や体験プログラムを通じて、子供から大人まで楽しめる学びの場を提供しています。恐竜に興味がある方や、家族連れでの訪問に最適なスポットです。