常布の滝は、群馬県吾妻郡草津町の大沢川にかかる美しい滝で、「日本の滝百選」に選定されている名瀑です。草津温泉街からほど近い場所にありながら、豊かな自然に囲まれた静寂の中に佇み、訪れる人々を圧倒的な景観で魅了します。
落差は約70メートルを誇り、屏風のように広がる一枚岩を流れ落ちる水の姿は荘厳で、四季折々の自然と相まって、草津を代表する景勝地の一つとなっております。
常布の滝最大の見どころは、赤や黒に染まった岩肌と、そこに広がる鮮やかな緑の苔が織りなすコントラストです。この奇怪ともいえる岩肌は、草津白根山の火山活動によって形成されたものです。縦に走る筋状の構造は、緩やかな柱状節理のような特徴を持つ熔結凝灰岩で、「白根浮石流」と呼ばれる火砕流や火山灰によってできた地層です。
また、滝の上部には本白根溶岩と呼ばれる比較的新しい溶岩層が見られます。長い年月をかけた浸食作用によって削られた穴や、そこから鍾乳石のようにつらら状に垂れ下がる岩の造形が確認できます。
落差は約70メートル。屏風のように広がる一枚岩を、酸性の清流が勢いよく流れ落ちる様子はまさに圧巻です。滝壺自体はそれほど大きくはありませんが、滝前は広く開けており、視界いっぱいに豪快な水の流れを楽しむことができます。
特に新緑の季節や紅葉の時期には、岩肌の色彩と周囲の木々が織りなすコントラストが一層鮮やかになり、まるで一枚の絵画のような景観が広がります。
常布の滝は、新緑や紅葉の季節に特に美しさを増します。春から初夏にかけては、みずみずしい若葉が滝の白い流れを引き立て、爽やかな景観を楽しめます。秋には周囲の山々が赤や黄色に染まり、岩肌の色彩と相まって幻想的な風景が広がります。自然写真を楽しむ方にも人気の高いスポットです。
周辺には高山植物や化石の分布も見られ、自然観察の場としても魅力にあふれています。芳ヶ平から草津温泉へと続く自然遊歩道の中間地点からもよく望むことができ、ハイカーにも人気の景勝地です。
常布の滝は、芳ヶ平から草津温泉へ続く自然遊歩道の途中からよく見える位置にあります。現在は展望台から遠望する形で滝を楽しむのが一般的です。展望台から眺める常布の滝は、周囲の山々と調和し、まるで一幅の日本画のような風情を感じさせます。
滝前へ向かうハイキングコースは落石の危険があるため現在は閉鎖中です。そのため、滝の真下まで行くことはできません。訪問の際は安全情報を事前に確認し、展望台からの見学をお楽しみください。
ハイキングコースの途中には、無名の小滝があり、その左下には俗に「常布の滝下温泉」と呼ばれる温泉が湧いています。いわゆる野湯であり、かつては自然の中にひっそりと湧き出る秘湯として知られていました。
現在は安全上の理由から立ち入りが難しい状況です。草津らしい火山と温泉の恵みを感じさせる存在として知られています。
また、滝下の鷲乃湯跡地に整備されたポケットパークは、1993年度の手づくり郷土賞(出会いを演出する街角)を受賞しています。地域の自然と調和した整備が評価された場所です。
草津温泉街から車で約5分、国道292号線を利用して草津温泉スキー場方面へ向かいます。草津交差点から白根山方面へ約1.7km進み、右手の林道へ入ります。林道は落石の影響で通行できない場合もありますのでご注意ください。草津温泉スキー場や天狗山第六駐車場に車を停めるのが便利です。
ヘアピンカーブ付近から徒歩で林道を約15分歩くと常布の滝展望台に到着します。温泉街の天狗山駐車場からは徒歩約50分ほどです。自然豊かな山道を歩きますので、歩きやすい靴と熊対策など十分な準備をして訪れましょう。
常布の滝は、草津温泉の華やかな温泉街とはまた異なる、雄大な自然の魅力を体感できる場所です。火山が生み出した独特の地形と、四季折々の彩りに包まれた滝の姿は、訪れる人の心に深い印象を残します。
草津を訪れた際には、ぜひ展望台からその壮大な景観をご覧いただき、自然の力と美しさを感じてみてはいかがでしょうか。