尻焼温泉は、群馬県吾妻郡中之条町大字入山に位置する歴史ある温泉地です。この温泉は、その特異な自然環境と独特の温泉体験が楽しめる場所として知られており、多くの訪問者を魅了しています。
尻焼温泉の泉質は、塩化物泉です。この泉質は、保温効果が高く、体を芯から温める効果があります。また、殺菌作用があるため、皮膚病や切り傷などに効果があるとされています。
尻焼温泉の歴史は古く、平家の落人によって発見されたと伝えられています。発見された時期は定かではありませんが、嘉永年間の地図にはすでにこの温泉が記載されており、長い歴史を持つ温泉地であることが伺えます。
「尻焼温泉」という名前の由来は、温泉が川底から湧き出る形で自然に形成され、温められた石に腰を下ろして痔を治したことにあります。この行為が「尻を焼く」と表現され、温泉の名前として定着しました。
尻焼温泉で最も有名なのが、吾妻川支流の白砂川のさらに支流である長笹川沿いに位置する「川の湯」です。ここは、川底から湧き出る温泉を堰き止めて作られた巨大な野天風呂です。この自然の露天風呂は、その広さからまるでプールのようにも見え、訪れる人々に独特の温泉体験を提供しています。
「川の湯」の脇には小さな湯小屋もあり、こちらでの入浴は水着の着用が禁止されています。一方で、川を堰き止めて作られた露天風呂部分では、更衣室などの設備がないため、水着を着用して入浴する人も見られますが、通常の温泉と同様に裸で入浴する人が多いのも特徴です。ただし、多雨期や融雪期、上流での夕立発生時には川が急流となり、川の中での入浴ができなくなることがありますので、訪問時には注意が必要です。
2023年(令和5年)12月19日、尻焼温泉に新たな町営日帰り温泉施設「尻焼温泉 弁天の湯」が旧入山小学校跡地に完成しました。この施設は、六合温泉医療センター内にあった「バーデ六合」の機能を引き継いだもので、同センターから新施設まで引湯される形となっています。「バーデ六合」はこれに伴い閉鎖されましたが、新しい施設でさらに多くの人々に尻焼温泉を楽しんでもらえることとなりました。
尻焼温泉は、その自然環境を生かした野天風呂「川の湯」や、2023年に完成した新しい日帰り温泉施設「弁天の湯」など、訪れる人々に多彩な温泉体験を提供する魅力的な温泉地です。歴史と自然が融合したこの場所で、心身ともにリフレッシュするひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。