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四万温泉

(しま おんせん)

四万温泉(旧字体:四萬溫泉)は、群馬県吾妻郡中之条町四万に位置する温泉地で、三国山脈を源とする四万川の上流域に広がっています。古代から続くこの温泉は、鎌倉時代から知られており、「四万の病を癒す霊泉」として名高く、胃腸病に効く日本三大胃腸病の名湯の一つとしても有名です。また、1954年に国民保養温泉地の第1号に指定されるなど、多くの歴史と伝統を持つ温泉地です。

四万温泉の由来と歴史

四万温泉の名前の由来は、「四万の病を癒す霊泉」にあると言われています。古くから湯治場として栄えており、湯宿は戦国時代末期の永禄6年(1565年)に初めて設けられました。また、江戸時代には「草津の仕上げ湯」としても知られ、草津温泉での湯治後に四万温泉で保湿・美肌効果を求める人々が訪れていました。四万温泉の歴史は非常に古く、様々な伝説が残されています。

開湯伝説

四万温泉には、二つの開湯伝説が伝わっています。一つ目は、平安時代初期の坂上田村麻呂が蝦夷征討の折にこの地で入浴したという説です。もう一つは、頼光四天王の一人、碓井貞光が現地で霊泉を発見したという伝説です。どちらも温泉の霊験あらたかさを物語っています。

泉質と効果

泉質

四万温泉の泉質は硫酸塩泉で、ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉に分類されます。泉温は43~82°Cで、低張性中性高温泉にあたります。この温泉水は、50年以上前に水源地域に降った雨水が地中に浸透し、マグマに触れることで温泉成分と熱を得て湧出するものです。四万温泉の源泉は、自然湧出が39か所、掘削源泉が3か所あり、総湧出量は毎分約3,500リットルに達します。

効果

四万温泉は、特に胃腸病に効果があるとされており、日本三大胃腸病の名湯の一つとされています。また、保湿・美肌効果も期待できるため、古くから湯治場として多くの人々に利用されてきました。

四万温泉の発展と温泉街

発展の歴史

四万温泉は戦国時代末期から江戸時代にかけて発展し、江戸時代には真田昌幸によって道路や橋が整備され、湯治場として栄えました。現存最古の湯宿「積善館」は、元禄4年(1691年)に開業しており、その後も多くの文人や墨客が訪れる名湯として知られるようになりました。昭和時代には、全国初の国民保養温泉地に指定され、観光地としての発展も進みました。

温泉街の構成

四万温泉街は、四万川沿いに約4キロメートルにわたって広がっており、日向見、ゆずりは、新湯、山口、温泉口の5つの地区から成り立っています。それぞれの地区には、趣の異なる温泉宿や観光スポットが点在しており、訪れる人々に多様な温泉体験を提供しています。

四万温泉の文化と名所

文化財

四万温泉には、歴史的な文化財も多く存在します。特に「積善館」は、日本最古の湯宿建築として群馬県の重要文化財に指定されており、朱塗りの「慶雲橋」とともに、その風景は多くの映画やアニメの舞台としても知られています。また、日向見地区には、四万温泉の開湯伝説にまつわる「御夢想の湯」や「日向見薬師堂」があり、歴史を感じさせる名所となっています。

観光とアクセス

四万温泉へのアクセスは、関越自動車道やJR上越線を利用して訪れることができます。また、四万温泉街には、多くの観光スポットや温泉施設があり、四季折々の自然を楽しむことができます。特に「奥四万湖」の鮮やかな青い水や、紅葉の美しいハイキングコース「赤沢林道」など、自然愛好者にとって魅力的なスポットが点在しています。

四万温泉の特記事項

四万温泉は、都会の喧騒を離れ、静かな時間を過ごすのに最適な場所です。温泉街には、交通信号機やコンビニエンスストアなどの現代的な施設がなく、古き良き温泉街の風情を楽しむことができます。また、映画やアニメの舞台としても人気があり、ファンにとっては巡礼の地ともなっています。

Information

名称
四万温泉
(しま おんせん)

草津・四万

群馬県