明治時代から続く「里見梨」の歴史
高崎市における梨栽培の歴史は、明治元年(1868年)までさかのぼります。下里見地区の農家であった富澤小平次が梨の栽培を始めたことが、この地域における梨づくりの始まりとされています。
当時は、米や麦、綿などを栽培しながら養蚕を営む農家が多く、生活を支えるために、より収益性の高い農作物が求められていました。そこで注目されたのが梨の栽培です。
榛名山麓は水はけが良く、昼夜の寒暖差も大きいことから、果樹を育てるのに適した環境でした。梨づくりは徐々に地域へ広がり、明治時代末頃には梨の産地として知られるようになったとされています。
榛名山麓の自然が育む甘く香り豊かな梨
火山灰土壌と豊かな日照
榛名山麓の梨をおいしく育てる大きな要因のひとつが、恵まれた自然環境です。榛名山や浅間山の火山活動によって形成された火山灰土壌は水はけが良く、果樹栽培に適しています。
さらに、榛名山南麓の里見地区は日当たりが良く、昼と夜の気温差も大きい地域です。こうした環境の中で育つことで、甘みの強い梨が実ります。
太陽の光を浴びて育つ無袋栽培
この地域では、梨を袋で覆わずに育てる無袋栽培も行われています。果実に太陽の光をたっぷり浴びせることで、甘みや香りの豊かな梨に仕上げています。
また、実がつきすぎないように摘果を行い、一つひとつの果実に栄養を行き渡らせるなど、品質を重視した栽培も行われています。
20種類以上の梨が楽しめる産地
榛名地域では、20種類以上の梨が栽培されており、夏から秋にかけて品種ごとに旬が移り変わります。代表的な品種には、次のようなものがあります。
主な梨の品種
幸水:8月中旬頃
豊水:9月頃
二十世紀:9月~10月頃
新高:10月頃
あたご:晩秋
特に新高やあたごなどの晩生種は、大きな果実になることで知られています。こうした大玉の梨は「冬将軍伝説」というブランド名でも販売され、贈答用としても人気があります。
国道406号沿いに広がる「くだもの街道」
約100軒の直売所が並ぶ人気のフルーツスポット
梨のシーズンになると、榛名山南麓を走る国道406号線沿いには、果樹農家が営む多くの直売所が並びます。この一帯は「はるなくだもの街道」や「フルーツ街道」と呼ばれ、群馬県を代表するフルーツ観光スポットのひとつとなっています。
例年8月中旬頃から11月頃にかけて、幸水、豊水、二十世紀などさまざまな梨が旬を迎えます。直売所では収穫されたばかりの新鮮な梨を購入でき、品種による味や食感の違いを楽しむこともできます。
梨を使ったスイーツや加工品も
近年では、直売所にカフェやイートインスペースを併設する農園もあります。梨を使ったフルーツソフトクリームや、梨のフレッシュジュースなど、旬の果実を生かしたメニューを味わえる場所もあります。
梨のほかにも、ジャムや梅の加工品など、地域の特産品を販売する農園もあり、お土産探しにもおすすめです。
自然の中で楽しむ梨狩り
自分でもぎ取る旬の味覚
榛名山麓の里見地区では、梨の収穫体験である梨狩りも楽しめます。農園によって内容は異なりますが、例年8月中旬頃の幸水から10月上旬頃まで体験できる農園が多く、試食を楽しめるところもあります。
自分の手でもぎ取ったばかりの梨をその場で味わえるのは、果樹園ならではの楽しみです。自然に囲まれた農園で、旬の果実を味わいながら、榛名山麓の豊かな風景も楽しめます。
農園によっては持ち帰り用の梨も販売しているため、収穫した季節の味覚をお土産として持ち帰ることもできます。
梨だけではない「果物の里」榛名
榛名地域は梨だけでなく、さまざまな果物が栽培されている果物の産地としても知られています。桃やプラム、ブルーベリー、ネクタリン、ラ・フランス、イチゴなど、多彩な果樹が育てられています。
季節によって味わえる果物が変わるため、訪れる時期ごとに異なる旬の味覚に出会えるのも、この地域ならではの魅力です。
季節のイベントも楽しめる榛名山麓
梨の旬の時期には、例年梨祭りやジャンボ梨コンテストなどのイベントも開催され、地域を訪れる多くの人でにぎわいます。
榛名山麓の果樹園巡りとあわせて榛名湖などの観光スポットを訪れることもでき、豊かな自然と季節の味覚を一緒に楽しめます。
榛名山麓で味わう「里見梨」
里見梨は、榛名山麓の豊かな自然と、長い歴史を持つ梨栽培によって育まれてきた高崎の名産品です。みずみずしく甘みのある梨は、夏から秋にかけて旬を迎え、品種によって異なる味わいや食感を楽しめます。
旬の時期に榛名山麓を訪れた際には、国道406号沿いのくだもの街道を巡り、直売所で新鮮な梨を購入したり、農園で梨狩りを体験したりしてみてはいかがでしょうか。榛名山の自然に囲まれながら味わう旬の梨は、旅の楽しみのひとつとなるでしょう。