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榛名神社

(はるな じんじゃ)

千四百年の時を経て、受け継がれる清らかな祈りが歴史ロマンへといざなう

榛名神社は、群馬県の歴史と文化を象徴する神社で、第31代用明天皇の時代(585~587年)に創建されたと伝えられています。榛名山の霊峰に位置し、自然と調和した美しい境内には、神道と仏教が融合した歴史が息づいています。古来より多くの信仰を集めてきたこの神社は、現在ではパワースポットとしても人気を博しています。

歴史と信仰の融合

神仏習合の霊場

榛名神社は、山岳信仰とともに神道と仏教が融合してきた霊場です。江戸時代には「榛名山厳殿寺(がんでんじ)」と呼ばれる寺院として機能し、榛名講と呼ばれる参拝者が多く集まり、宿坊が立ち並び、社家町(しゃけまち)と呼ばれる町が形成されていました。

しかし、慶応4年(1868年)に神仏分離令が発布され、仏教的な要素が取り除かれ、再び榛名神社としての姿を取り戻しました。現在でも、その歴史の名残が随所に感じられる境内は、訪れる人々を惹きつけてやみません。

祭神と神社の特色

主祭神と祀られている神々

榛名神社の主祭神は、火の神である火産霊神(ほむすびのかみ)と土の神である埴山姫神(はにやまひめのかみ)です。さらに、水分神の高靇神(たかおかみのかみ)、闇靇神(くらおかみのかみ)、大山祇神(おおやまつみのかみ)、大物主神(おおものぬしのかみ)、木花開耶姫神(このはなさくやひめのかみ)も祀られています。

中世以降、この神社はしばしば「満行権現」と称され、元湯彦命が祭神とされましたが、明治元年に現在の火産霊神と埴山姫神の二柱が正式に祀られるようになりました。

榛名神社の歴史

創建からの歩み

榛名神社の起源は、古代の綏靖天皇の時代に遡ります。饒速日命の御子である可美真手命父子が山中に神籬を建て、天神地祇を祀ったことから始まるとされています。その後、用明天皇元年(586年)に祭祀の場が正式に創建され、延長5年(927年)には延喜式神名帳において上野国十二社の一つに位置づけられました。

南北朝時代からは、上野寛永寺の下に属し、高崎市中里見町の里見山阿弥陀院光明寺から別当が派遣され、管理が行われていました。近世に入ると、東叡山輪王寺宮兼帯所となり、榛名山巌殿寺・満行宮と称されましたが、明治時代には神仏分離により元の榛名神社へと戻りました。

現代に至る修復と保護活動

榛名神社は、長い歴史を持ちながらも、2017年から2025年までにかけて群馬県内の文化財修復プロジェクトの一環として、大規模な修理作業が行われています。総額23億円を投じて、国祖社・額殿、双龍門、本社・幣殿・拝殿、神楽殿の修復が順次進められており、百数十年ぶりの大修理によって、その美しさと歴史的価値が再び輝きを取り戻しています。

文化財としての価値

重要文化財の指定

榛名神社には、国の重要文化財に指定されている6つの建造物があります。これらは、平成17年12月27日に指定されたもので、以下の建物が含まれます。

本社・幣殿・拝殿

本社・幣殿・拝殿は、春日造の本社と入母屋造の拝殿が幣殿で繋がった複合社殿で、全体としては権現造となっています。建立は文化3年(1806年)で、華やかな彩色と彫刻が施された銅板葺きの屋根が特徴です。本社は背後の御姿岩に接続され、洞窟内に御神体が祀られています。

国祖社及び額殿

国祖社及び額殿は、本社・幣殿・拝殿の左側に位置し、もともとは勝軍地蔵と阿弥陀仏を安置していた本地堂でした。建築は享保年間(1716 - 1735年)で、額殿は文化11年(1814年)に建てられました。神楽拝観所としても利用されていました。

神楽殿

神楽殿は、明和元年(1764年)に再建された建物で、板張りの舞台と格天井には花鳥図や神楽面が描かれています。

双龍門

双龍門は、安政2年(1855年)に建立された四脚門で、銅板葺きの入母屋造です。竜の彫刻や水墨画が施され、「双龍門」と呼ばれる由来となっています。

神幸殿

神幸殿は、安政6年(1859年)に建立された社殿で、神幸祭の際に神輿が出御してとどまる場所です。彩色は古制により施されていません。

随神門

随神門は、弘化4年(1847年)に建立された八脚門で、もともとは仁王門と呼ばれていましたが、神仏判然令の際に随神門と改名されました。

国の天然記念物と奇岩奇景

榛名神社の境内には、国の天然記念物に指定されている「矢立スギ」があります。このスギは、武田信玄が戦勝祈願のために矢を立てる矢立神事を行った木として有名で、高さ55メートル、周囲9.4メートルの壮大な姿を誇ります。昭和8年4月13日に国の天然記念物に指定されました。

また、境内には「御姿岩」「九十九折岩」「倉掛岩」「鉾岩」など、多くの奇岩奇景が点在しており、訪れる人々に神秘的な風景を提供しています。

榛名神社の参拝と門前町

随神門と参道

随神門をくぐると、一気に雰囲気が変わり、神聖な空気が漂います。この門は、1847年に建てられた当時、寺の仁王門として使用されていましたが、現在では榛名神社の参拝者を迎える入口として重要な役割を果たしています。

本堂まで続く参道は約700メートルあり、木々に囲まれた道を歩くことで、清らかな空気を感じながら心が癒されます。

門前そばと門前町の情緒

榛名神社の門前には、名物の門前そばを楽しむことができます。榛名産のそば粉を使用し、榛名山の湧水で打たれたそばは、すっきりとした食感が特徴です。参拝後に味わうそばは格別で、多くの参拝者が立ち寄ります。

また、門前には国登録有形文化財の宿坊があり、情緒あふれる街並みを散策することができます。現在では宿坊は食事処として機能しており、門前そばや群馬県の名物である焼きまんじゅうなど、参拝後の食事を楽しむことができます。

焼きまんじゅうは、蒸したまんじゅうを竹串に刺して焼き、甘辛い味噌だれを塗ったもので、ふわふわとした食感が特徴です。この地域の名物として親しまれており、訪れる際にはぜひ味わってみてください。

まとめ

榛名神社は、その歴史的背景や信仰の深さ、そして文化財としての価値から、多くの人々に愛され続けている神社です。美しい自然に囲まれた境内を歩くことで、心が浄化されるとともに、歴史や文化に触れることができます。また、参拝後に楽しめる門前町での食事や散策も、訪れる人々にとって忘れられないひとときとなるでしょう。ぜひ一度、榛名神社を訪れ、その魅力を実感してみてください。

Information

名称
榛名神社
(はるな じんじゃ)
リンク
公式サイト
住所
群馬県高崎市榛名山町849
電話番号
027-374-9050
営業時間

午前7時~午後6時(冬期は午後5時まで)

定休日

無休

料金

無料

駐車場
有り
アクセス

バス:高崎駅西口2番乗り場 群馬バス榛名湖行70分「榛名神社」下車

車:高崎ICより車で70分

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