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薄根の大クワ

(うすね おおクワ)

養蚕の歴史を今に伝える天然記念物

薄根の大クワは、群馬県沼田市町田町石墨(旧利根郡薄根村)に生育するヤマグワの巨木です。昭和31年(1956年)5月15日に国の天然記念物に指定され、日本最大級のヤマグワとして広く知られています。推定樹齢は1,500年以上とも伝えられ、古くから「養蚕の神」として地域の人々に敬われてきました。

日本一と称されるヤマグワの巨樹

薄根の大クワは、根元周囲約5.67メートル、樹高約13.65メートルを誇る堂々たる姿が特徴です。枝葉は大きく広がり、東西・南北ともにおよそ14メートルに及ぶといわれています。畑地の中に立つその姿は非常に美しく、四季折々に異なる表情を見せてくれます。

ヤマグワは霜害に強い樹木として知られています。かつて周辺の桑畑が霜の被害を受けた際には、この大クワの葉が養蚕農家を救ったという伝承も残っています。群馬県はかつて全国有数の養蚕地帯であり、その象徴的存在として、この木は特別な意味を持ってきました。

歴史に刻まれた存在

薄根の大クワは、江戸時代の史料にも登場します。貞享3年(1686年)、前橋藩の家老・高須隼人が石墨村の再検地を行った際、この大クワを検地の標木に用いたと伝えられています。当時からひときわ目立つ巨樹であったことがうかがえます。

幹が太く堂々とした姿から、長年にわたり「養蚕の神」として信仰を集めてきました。地域の人々はこの木を大切に守り続け、その存在は村の歴史そのものともいえるでしょう。

ぐんま絹遺産としての価値

薄根の大クワは、世界遺産「富岡製糸場と絹産業遺産群」に関連する文化資産として、群馬県が認定する「ぐんま絹遺産」の一つにも登録されています。養蚕と製糸業で発展してきた群馬県の歴史を語るうえで欠かすことのできない存在です。

桑の木は蚕の餌となる葉を供給する重要な植物であり、日本の近代化を支えた絹産業の基盤でした。その象徴ともいえる薄根の大クワは、自然遺産であると同時に産業遺産としての側面も持っています。

自然環境と立地

この巨木は、沼田市北部の迦葉山南西麓、利根川支流の四釜川左岸に形成された標高約430メートルの河岸段丘上に位置しています。周囲はのどかな畑地で、遠くには山並みが広がり、自然豊かな風景の中に静かに佇んでいます。

段丘地形の安定した地盤と気候条件が、長い年月にわたりこの巨木を育んできたと考えられています。地域の自然環境と歴史が一体となって現在の姿を形づくっています。

保存と保護の取り組み

近年は害虫などの影響も見られることから、樹木医による樹勢回復作業が行われています。足場を組み、専門的な治療や管理が施されるなど、大切な文化財を守るための取り組みが続けられています。

長い歳月を生き抜いてきたこの木を未来へと受け継ぐため、地域と行政が協力して保護活動を行っている点も、この巨樹の価値を物語っています。

アクセス情報

所在地:群馬県沼田市町田町石墨(小栗山2083付近)

公共交通機関:JR上越線沼田駅より関越交通バス佐山線に乗車し、「石墨一本松」停留所下車、徒歩約2分。

自家用車:関越自動車道沼田ICより約15分。

訪れる際の魅力

薄根の大クワは、ただ大きいだけでなく、地域の歴史や人々の営みと深く結びついた存在です。畑の中に立つその姿を目の前にすると、1,000年以上の時を超えて生き続けてきた生命力に圧倒されます。

沼田市周辺には、沼田公園や河岸段丘の景観など多くの見どころがあります。歴史と自然を巡る観光の一環として、ぜひこの日本一のヤマグワを訪れ、その雄大な姿と群馬の養蚕文化の歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

Information

名称
薄根の大クワ
(うすね おおクワ)

尾瀬・沼田

群馬県