大理石村ロックハート城は、群馬県吾妻郡高山村の日本ロマンチック街道沿いに位置する石のテーマパークです。このテーマパークの中心となる「ロックハート城」は、英国スコットランドから移築・復元された本物の城で、ヨーロッパの中世の雰囲気と歴史的価値から、多くの観光客や撮影クルーに人気を集めています。テーマパーク内には、美しい石造りの教会や歴史的な展示があり、地域の活性化にも貢献しています。
ロックハート城は1829年、スコットランドのサウス・ラナークシャーのカールークに、ウィリアム・ロックハートによって建設された歴史的な城館です。当初「ミルトン・ロックハート・ハウス」と呼ばれていました。
ロックハート家の祖先であるサイモン・ロッカードは、スコットランドの英雄ロバート・ブルース王に仕えた騎士であり、ブルース王の遺言を受けてその心臓を祖国に持ち帰るという名誉ある任務を遂行しました。その後、ロッカード家の家名はロックハートに改名され、紋章には鍵に囲まれたハートの図が加えられました。
ロックハート城は、19世紀初頭に建設された地上3階、地下1階のカントリー・ハウスであり、約3,200トンの砂岩から構成されています。その美しい建築様式は、ロックハート家の栄光と共に語り継がれています。
ロックハート城は、1987年に俳優の津川雅彦が購入し、北海道広尾郡広尾町に計画していたレジャーランド「夢の王国サンタ愛ランド」の中核施設として移築される予定でした。1988年には解体が始まり、約600トンの石材が30個の海上コンテナに詰められ、シベリア鉄道を経由して日本へ運ばれました。
しかし、資金計画を巡るトラブルにより、広尾町での計画は頓挫し、ロックハート城は宙に浮いた状態となります。1992年に、群馬県沼田市の株式会社サンポウがこの城を買い取り、高山村に建設中だった「大理石村」内での復元が決定しました。約15億円を投じて行われた復元作業は、延べ15,000人の人員を動員し、1993年4月6日に完了しました。
復元されたロックハート城は、高さ20メートル、幅31.3メートル、奥行き22.3メートルの壮大な建築であり、建築面積は1,361平方メートルに及びます。日本で初めてのヨーロッパの城館移築・復元事例として、その歴史的価値は非常に高く、多くの観光客が訪れます。また、津川雅彦はロックハート城の名誉城主に就任し、自身が収集したサンタクロースコレクションを展示する「世界のサンタミュージアム」を開設しています。
ロックハート城内には、ヨーロッパ直輸入の商品を扱う「ギャラリーショップ」があります。中世の雰囲気を感じさせるアイテムや、モダンビスクドール、イタリア陶器人形、テーブルウェアなどが展示・販売されており、訪れる人々に古き良き時代を思い起こさせます。
また、アクセサリー作りが体験できる「ストーンショップ」もあり、ここでは自分だけのオリジナルブレスレットをデザインすることができます。お子様でも簡単に作れるため、家族みんなで楽しむことができ、カップルでお互いのイニシャル入りのデザインにしても素敵です。
ロックハート城内に設置された「世界のサンタミュージアム」では、津川雅彦が長年にわたり収集した1,100体以上のサンタクロースが展示されています。これらのコレクションは世界中から集められたもので、訪れる人々に温かさと驚きを提供しています。
さらに、「世界の城ライブラリー」では、城に関する書籍1,000冊が収められており、歴史や文化に興味のある人々にとって貴重な資料が揃っています。英国の文豪ウォルター・スコットに関連する書籍も多く、訪問者にとっては知的探求の場ともなっています。
ロックハート城内にある「セントローレンス教会」は、ウィリアム・ロックハート卿の弟、ローレンス・ロックハートに由来する教会です。彼は神学博士であり、牧師でもありました。この教会には18世紀のアンティーク・ステンドグラスが嵌めこまれており、美しい厳かな雰囲気を醸し出しています。
セントローレンス教会は結婚式場としても利用されており、その美しい環境は多くのカップルにとって特別な日を彩る場所となっています。教会内部の装飾やアンティークの品々が、結婚式に参加する人々に深い感動を与えます。
ロックハート城内には「香水の部屋」があり、世界中から集められた1,000点以上の香水が展示されています。訪問者は、香りを楽しみながら世界各国の香水文化に触れることができます。
また、「サインギャラリー」では、これまでにロックハート城を訪れた700名以上の俳優やミュージシャンのサインや、撮影に使用された台本などが展示されています。これらの展示物は、映画や音楽のファンにとって見逃せないものとなっています。
「テディーの家」には、海外から収集された200体のテディーベアが展示されています。愛らしいテディーベアたちは、子供から大人まで幅広い世代に人気です。
ロックハート城は、首都圏からのアクセスの良さと中世ヨーロッパの町並みが再現されていることから、数多くのドラマや映画、ミュージック・ビデオのロケ地として利用されています。特に、テレビ朝日系列で放送された『相棒』のSeason 4 第1話「閣下の城」では、ロックハート城が舞台として使用され、津川雅彦自身も出演しています。
その他にも、GIRL NEXT DOORやAKB48などの音楽ユニットが、ロックハート城でライブを行ったり、ミュージック・ビデオを撮影したりしており、ロックハート城の存在感はエンターテインメントの分野でも広く認識されています。
ロックハート城は、NPO法人地域活性化支援センターが認定する「恋人の聖地」に群馬県で唯一選定されています。恋人たちが愛を囁き合い、プロポーズをするのにふさわしいスポットとして、多くのカップルに親しまれています。
特に「スプリングベル&恋人の泉」では、高さ20メートルの最上階に設置された鐘を2人で鳴らしながら愛を告白することで、その愛が永遠に続くとされています。また、恋人の泉の水を飲むと新たな恋愛が始まると言われ、多くの訪問者がこの伝説に惹かれています。
ロックハート城の正面に位置する「ビッグハート」は、半円形の野外レストランで、食事をしながらロックハート城を眺めることができる人気スポットです。やまと豚のスパイシーローストやロングソーセージのマーブルビーンズカレーなど、多彩なメニューが用意されています。
また、「パトリシア」はオープンカフェテラスで、ワンちゃんも一緒にくつろぐことができる場所です。ボリューム満点のカレーや自家製スコーン、ベルギーワッフルが特におすすめです。お天気の良い日には、自然の中でリラックスしたひとときを過ごすことができます。
大理石村ロックハート城は、その壮大な歴史と文化を背景に、日本で唯一のヨーロッパの城館を移築・復元したテーマパークです。美しい自然環境の中で、中世ヨーロッパの雰囲気を感じながら、歴史に触れ、文化を学ぶことができるだけでなく、様々な体験やイベントが用意されており、訪れる人々にとって忘れられない場所となることでしょう。ロックハート城は、観光地としてだけでなく、撮影地や結婚式場としても多くの人々に愛され続けています。ぜひ一度訪れて、その魅力を直接感じてみてください。