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渋川市

(しぶかわし)

名湯と情緒あふれる日本のへそ

渋川市は、群馬県のほぼ中央、関東平野の最北西端に位置する市であり、東京都心から約120kmの距離にあります。古くから交通の要衝として栄え、江戸時代に宿場町として発展してきた歴史を持つ一方で、現在では温泉や自然、文化資源に恵まれた観光都市として、多くの人々を惹きつけています。

市内には日本を代表する温泉地の一つである伊香保温泉をはじめ、四季折々の美しい風景、歴史的な街並み、文化や芸術に触れられる施設が数多く存在しています。訪れる人々は、温泉で心身を癒やすだけでなく、自然散策や歴史探訪、地域の食文化を楽しむことができる点が大きな魅力です。

地理と自然環境

日本のまんなかに位置するまち

渋川市は、日本列島(沖縄を除く)のほぼ中央に位置するとされ、「日本のへそ」の一つとして知られています。1984年には「日本のまんなかへそのまち」を宣言し、全国へそサミットの開催地ともなりました。

山と川に囲まれた豊かな地形

市の西側には榛名山の裾野が広がり、東には赤城山、北には子持山と小野子山がそびえています。さらに、北から利根川、西から吾妻川が流れ、市内白井地区で合流するなど、水と緑に恵まれた自然環境が特徴です。

市域の広さは東西約6km、南北約10km、周囲は約40kmと比較的コンパクトながら、多様な地形と景観が凝縮されています。

日本のへそ・渋川市の魅力

渋川市は、古くから交通の要衝として栄え、工業・農業・観光を主要産業として発展してきました。中でも全国屈指の名湯として知られる伊香保温泉を有することから、古今東西、多くの人々が癒やしと憩いを求めて訪れてきました。

渋川市の魅力は温泉だけにとどまりません。四季折々に表情を変える自然、歴史を今に伝える名所旧跡、文化や芸術に触れられる施設、地域に根付いた祭りやイベント、そして土地の恵みを生かした食文化など、多彩な魅力が市内各地に点在しています。市内は大きく6つのエリアに分かれており、それぞれに異なる個性と見どころがあります。

伊香保エリア ― 名湯と情緒あふれる温泉街

伊香保エリアは、渋川市観光の中心ともいえる地域で、日本を代表する温泉地伊香保温泉を擁しています。万葉集にも詠まれたほど歴史の古い温泉で、古来より人々の心と体を癒やしてきました。

伊香保温泉の二つの名湯

伊香保温泉には、「黄金の湯」と「白銀の湯」という二種類の源泉があります。黄金の湯は鉄分を多く含む茶褐色の湯で、体を芯から温めるやわらかな泉質が特徴です。古くから子宝の湯としても親しまれ、特に女性に人気があります。

一方、比較的近年湧出が確認された白銀の湯は、無色透明でクセがなく、豊富な湯量を誇ります。病後の回復や疲労回復、健康増進に良いとされ、現代の温泉ニーズにも合った泉質として注目されています。

伊香保石段街

伊香保温泉の象徴ともいえる伊香保石段街は、山形県の山寺、香川県の金刀比羅宮と並び、日本三大名段の一つに数えられています。約440年前、日本で初めての温泉都市計画に基づいて整備されたと伝えられ、その歴史的価値は非常に高いものです。

石段は温泉街のメインストリートとして機能しており、両脇には老舗旅館や土産物店、飲食店、射的屋などが立ち並び、歩くだけで温泉情緒を存分に味わうことができます。昼はにぎやかに、夜は灯りに照らされて幻想的な雰囲気に包まれ、時間帯によって異なる表情を楽しめます。

河鹿橋と四季の彩り

伊香保温泉の最奥部に位置する河鹿橋は、朱塗りの太鼓橋が印象的な名所です。源泉湧出口や伊香保露天風呂の近くにあり、伊香保観光では欠かせないスポットの一つです。

春は新緑、秋は紅葉の名所として知られ、特に秋の紅葉シーズンにはライトアップも行われ、幻想的な景観が広がります。もみじやかえで、くぬぎ、うるしなどが一斉に色づく光景は、訪れる人の心を強く惹きつけます。

文化と体験のスポット

伊香保エリアには、温泉以外にも魅力的な施設が揃っています。佛光山法水寺は、日本の臨済宗佛光山寺本山として建立された寺院で、台湾に総本山を持ちます。広々とした境内と荘厳な建築が特徴で、座禅や写経の無料体験も行われており、心静かなひとときを過ごすことができます。

また、群馬県総合スポーツセンター伊香保リンクは、日本最大級のスケート施設として知られ、初心者から経験者まで幅広く楽しめます。季節を問わず利用できる点も魅力です。

自然を楽しむ伊香保

伊香保ロープウェイでは、温泉街から見晴駅まで約4分間の空中散歩を楽しむことができます。眼下に広がる景色は雄大で、到着後は上ノ山公園や伊香保森林公園の散策もおすすめです。

上ノ山公園の展望台「ときめきデッキ」からは、伊香保温泉街や渋川市街地を一望でき、縁結びの鐘として知られる「輝望の鐘」も設置されています。

さらに、伊香保森林公園では、榛名山の外輪山である二ツ岳を中心に、つつじや紅葉を楽しみながら森林浴やハイキングを満喫できます。

日帰り入浴で気軽に温泉体験

伊香保温泉には日帰りで楽しめる入浴施設も充実しています。伊香保露天風呂は黄金の湯源泉地に位置し、自然に囲まれた素朴な露天風呂として人気です。石段の湯は石段街にある蔵造りの公共浴場で、観光の合間に立ち寄りやすい立地です。

また、黄金の湯館では大浴場と露天風呂を備え、ゆったりとした時間を過ごすことができます。伊香保温泉唯一の飲泉所では、独特の風味を持つ温泉を実際に飲む体験も可能です。

渋川エリア ― 花と遊びと温泉のまち

渋川エリアは、市の花であるあじさいをはじめ、自然とレジャーが調和した地域です。小野池あじさい公園では、6月から7月にかけて約8,000株のあじさいが咲き誇り、多くの観光客で賑わいます。

伊香保グリーン牧場では、動物とのふれあいや乗馬体験、シープドックショーなどが楽しめ、家族連れに人気です。渋川スカイランドパークは、レトロな雰囲気が魅力の遊園地で、大人も子どもも気軽に楽しめます。

温泉施設も充実しており、渋川天然温泉花湯スカイテルメリゾート富貴の湯では、日常の疲れを癒やすことができます。

北橘エリア ― 桜と産業遺産の風景

北橘エリアの象徴は、高さ約80メートルを誇る佐久発電所のサージタンクです。導水管周辺には約100本の桜が植えられており、春には花見客で賑わいます。

また、市内唯一の酒蔵である聖酒造では、赤城山の伏流水を使った地酒「関東の華」が造られています。落合簗では、利根川の清流とともに新鮮な鮎料理を味わうことができます。

赤城エリア ― 大自然と伝統文化

赤城山西麓に広がる赤城エリアは、自然の魅力が詰まった地域です。棚下不動の滝は「日本の滝100選」に選ばれた名瀑で、37メートルの断崖を一気に流れ落ちる姿は圧巻です。

赤城自然園は、森林セラピー基地としても認定されており、四季折々の自然と多様な生き物に出会うことができます。

さらに、上三原田の歌舞伎舞台は国指定重要有形民俗文化財で、全国的にも珍しい構造を持つ貴重な舞台です。

子持エリア ― 歴史と里山の風景

利根川と吾妻川、子持山に囲まれた子持エリアは、かつて市場町として栄えた歴史を持ちます。白井宿では、八重桜の名所として知られ、往時の街並みを今に伝えています。

子持山獅子岩では、地形が生み出した独特の景観とともに、関東平野を一望する絶景を楽しめます。

また、道の駅こもち上州 村の駅では、特産のこんにゃくや新鮮な農産物を購入することができます。

小野上エリア ― 棚田と登山、温泉の郷

小野上エリアは、山あいに広がる棚田や、小野子三山を中心とした自然豊かな地域です。初心者から上級者まで楽しめるハイキング・登山コースが整備されています。

小野上温泉センターは「美人の湯」として知られ、つるすべ肌の泉質が特徴です。自然の岩窟を利用した岩井堂観世音御堂も、静かに手を合わせたい場所として親しまれています。

産業と特産品

観光業を支える温泉

渋川市の産業の中心は観光業であり、特に伊香保地区は伊香保温泉を抱える一大観光地です。石段街を中心とした温泉情緒あふれる街並みは、全国から多くの観光客を集めています。

食文化と特産品

伊香保地区では、水沢うどん湯の花まんじゅうが名物として知られています。特に水沢うどんは、日本三大うどんの一つに数えられ、コシのある麺とさっぱりとしたつゆが多くの人に愛されています。

一方、子持地区ではこんにゃくの生産が盛んで、品質の高いこんにゃく製品が特産品として親しまれています。

道の駅こもち道の駅おのこでは、こうした地元の特産品や新鮮な農産物を購入でき、観光の立ち寄りスポットとして人気です。

歴史と宿場町としての発展

交通の要衝としての渋川

渋川は、高崎から金古を経由して越後へ至る三国街道の宿場町として発展しました。さらに、本庄から総社を経由する佐渡奉行街道が合流する地点でもあり、江戸時代を通じて重要な交通拠点として栄えました。

1613年(慶長18年)頃から町割が始まり、上ノ町・中ノ町・下ノ町の三町が形成され、それぞれに問屋が置かれました。本陣や脇本陣は設けられなかったものの、江戸時代後期には越後の諸大名や佐渡奉行が宿泊した記録が残っています。

市場町と馬市の賑わい

渋川は六斎市が開かれる市場町としても知られ、上ノ町では2日と17日、中ノ町では7日と22日、下ノ町では12日と27日に市が立ちました。初市は1630年(寛永7年)に始まったとされ、地域経済を支える重要な役割を果たしてきました。

また、応永年間に始まったとされる馬市も有名で、春・夏・冬の年3回開催され、近隣地域から多くの人々が集まりました。

近代から現代への歩み

市制施行と合併の歴史

1889年(明治22年)の町村制施行により渋川町が誕生し、その後の合併を経て1954年(昭和29年)に旧渋川市が発足しました。2006年(平成18年)には、伊香保町、小野上村、子持村、赤城村、北橘村との新設合併により、現在の渋川市が誕生しています。

温泉とレジャーを満喫する

伊香保温泉

渋川市を代表する観光地といえば、全国的な知名度を誇る伊香保温泉です。榛名山の中腹に広がる温泉街は、石段街を中心に発展しており、365段ある石段の両脇には土産物店や飲食店、旅館が軒を連ねています。石段を一段一段登りながら、温泉情緒あふれる街並みを楽しめるのが伊香保温泉ならではの魅力です。

伊香保温泉には、鉄分を含む「黄金の湯」と、無色透明でやわらかな肌触りの「白銀の湯」があり、異なる泉質を楽しむことができます。古くから湯治場として親しまれてきた歴史を持ち、現在も多くの観光客が癒やしを求めて訪れています。

市内各地の温泉施設

伊香保温泉以外にも、渋川市内には魅力的な温泉地や温浴施設が点在しています。小野上温泉は吾妻川沿いに位置し、自然に囲まれた静かな環境の中でゆったりと湯を楽しむことができます。敷島温泉北橘温泉も、地域住民や観光客に親しまれており、日帰り入浴施設として気軽に利用できる点が魅力です。

また、スカイテルメ渋川は、温泉とプール、リラクゼーション施設を兼ね備えた複合温浴施設で、子どもから大人まで幅広い世代が楽しめます。

家族で楽しめるレジャースポット

渋川スカイランドパークは、市街地を一望できる高台にある遊園地で、観覧車やジェットコースターなどのアトラクションが揃っています。比較的コンパクトな施設ながら、家族連れやカップルに人気があり、休日には多くの来園者で賑わいます。

伊香保グリーン牧場は、広大な敷地で動物とのふれあいや牧場体験ができる観光牧場です。羊や馬、牛などの動物を間近に見ることができ、季節ごとのイベントや体験プログラムも充実しています。雄大な自然の中で過ごす時間は、訪れる人に心地よい癒やしを与えてくれます。

愛宕山ふるさと公園は、市民の憩いの場として整備された公園で、散策やピクニックに最適なスポットです。四季折々の自然を感じながら、のんびりとした時間を過ごすことができます。

歴史と信仰を感じる名所・旧跡

水沢観音と水沢寺

五徳山無量寿院水沢寺(水沢観音)は、坂東三十三観音霊場の第16番札所として知られ、古くから多くの参拝者を集めてきました。山門をくぐると、厳かな雰囲気に包まれた境内が広がり、参道沿いには名物の水沢うどん店が並んでいます。

伊香保神社と関所跡

石段街の最上部に鎮座する伊香保神社は、伊香保温泉の守り神として信仰を集めています。石段を登りきった先に現れる社殿は、旅の達成感とともに心を静めてくれる存在です。

また、伊香保関所跡御関所(関所跡)は、江戸時代の交通や治安を今に伝える史跡であり、宿場町として栄えた伊香保・渋川の歴史を感じることができます。

白井宿と白井城

白井宿は、かつての宿場町の面影を残す地区で、落ち着いた町並みが魅力です。近隣には白井城があり、県指定史跡として歴史的価値の高い場所となっています。城跡からは周囲の景色を一望でき、往時の様子に思いを馳せることができます。

中筋遺跡は、古代から人々が暮らしていたことを示す貴重な遺跡で、渋川市の長い歴史を物語っています。

文化・芸術・文学に触れる

文学・美術館めぐり

渋川市には、文学や芸術に関わる施設が数多く点在しています。竹久夢二伊香保記念館は、大正ロマンを代表する画家・竹久夢二の作品や資料を展示しており、伊香保温泉との深い関わりを知ることができます。

徳富蘆花記念文学館は、明治・大正期の文豪である徳富蘆花の足跡を伝える施設で、彼の文学世界に触れることができます。保科美術館では、日本画や洋画など多彩な作品が展示され、静かな環境の中で芸術鑑賞を楽しめます。

また、日本シャンソン館は、シャンソン歌手・芦野宏氏が館長を務めた施設で、日本におけるシャンソン文化を伝える貴重な存在です。

自然を感じる観光スポット

赤城自然園は、赤城山南麓に広がる自然公園で、四季折々の花々や森の風景を楽しむことができます。春の新緑、夏の涼やかな木陰、秋の紅葉など、訪れる季節ごとに異なる表情を見せてくれます。

佐久発電所周辺は桜の名所として知られ、春には多くの花見客で賑わいます。自然と産業遺産が調和した景観も、渋川市ならではの魅力です。

四季折々の楽しみ

渋川市では、春は桜やいちご狩り、夏はあじさいや渋川へそ祭り、秋は紅葉やりんご狩り、冬はロウバイやスケートと、年間を通して多彩な楽しみが待っています。

祭りとイベントで感じる渋川の活気

渋川市では、年間を通じて多彩な祭事・催事が開催されます。伊香保石段ひなまつりでは、石段街に雛人形が飾られ、春の訪れを華やかに演出します。

渋川へそ祭りは、市を代表する夏祭りで、参加者がへそに絵を描いて踊るユニークな祭りとして全国的にも知られています。さらに、渋川山車まつり伊香保まつり上三原田歌舞伎など、地域の伝統や文化を色濃く感じられる行事が数多く受け継がれています。

交通アクセスの利便性

鉄道とバス網

渋川駅は上越線と吾妻線が分岐する交通の要地で、伊香保温泉への玄関口として重要な役割を担っています。市内外を結ぶ路線バスや高速バスも充実しており、首都圏からのアクセスも良好です。

道路網

関越自動車道の渋川伊香保IC・赤城ICをはじめ、国道17号や353号など主要道路が整備されており、車での移動も便利です。

道の駅

道の駅こもち・道の駅おのこでは地域の特産品や観光情報を楽しむことができます。

おわりに

渋川市は、豊かな自然、歴史ある街並み、温泉文化、そして人々の温かさが調和した魅力あふれる都市です。観光、歴史探訪、癒やしの旅など、さまざまな目的で訪れることができ、何度訪れても新たな発見があるまちとして、多くの人々を迎え入れています。

Information

名称
渋川市
(しぶかわし)

渋川・伊香保

群馬県