原美術館ARCは、群馬県渋川市の榛名山麓に位置する現代美術を中心とした美術館です。伊香保温泉にほど近く、豊かな自然に囲まれた広い敷地の中に建てられており、芸術と自然が調和した魅力的な文化施設として知られています。隣接する伊香保グリーン牧場とともに、渋川市を代表する文化観光スポットの一つとなっています。
この美術館は、東京・品川にあった原美術館(1979年開館、2021年閉館)と群馬県渋川市の別館であったハラ ミュージアム アークの活動を統合し、2021年4月に新たにスタートしました。現在は、世界の現代美術作品を中心に、東洋古美術や日本美術など多彩なコレクションを展示する美術館として、多くの来館者を魅了しています。
原美術館ARCの大きな特徴は、現代美術と伝統的な東洋美術の両方を鑑賞できる点です。1950年代以降の世界の現代美術作品を中心に、日本の近世絵画や工芸品、中国美術など幅広い分野の作品が所蔵されています。
館内ではこれらのコレクションを活かし、年に数回の企画展が開催されています。展示内容はその時期によって変わるため、訪れるたびに新しい芸術の魅力に出会うことができます。また、講演会やワークショップなどの教育普及プログラムも行われており、現代美術をより身近に感じられる取り組みが行われています。
原美術館ARCの建築を手がけたのは、世界的に活躍した建築家磯崎新です。榛名山の雄大な景観に調和するよう設計された建物は、自然の中に静かに佇む美しい美術館として高く評価されています。
特に印象的なのが、ピラミッド型の屋根を持つギャラリーAです。正方形の建物に大きな屋根がかかる独特のデザインは、周囲の山々の稜線と呼応するように設計されています。建物の内部にはトップライトから柔らかな自然光が差し込み、現代美術作品を美しく引き立てています。
また、ギャラリーAの両側には細長いギャラリーB・Cが配置されており、シンメトリーな構成によって落ち着いた展示空間が作られています。これらの展示室はシンプルで端正な空間となっており、現代美術作品の魅力を存分に味わうことができます。
2008年には新たに特別展示室「觀海庵(かんかいあん)」が増築されました。この建物は、滋賀県の名刹である三井寺(園城寺)の旧日光院客殿の書院造を参考に設計された和風建築です。
館内は木材や石、和紙、漆喰などの伝統素材によって仕上げられており、日本の職人技が随所に感じられる静かな空間となっています。ここでは東洋古美術などが展示され、現代美術とは異なる落ち着いた雰囲気の中で日本文化の美を鑑賞することができます。
原美術館ARCのもう一つの魅力は、広々とした庭園に展示された屋外彫刻作品です。緑豊かな庭を散策しながら、国内外のアーティストによる作品を鑑賞することができます。
庭園には世界的アーティストであるアンディ・ウォーホルの作品をはじめ、ジャン=ミシェル・オトニエルなどの現代美術作品が設置されており、自然の景色とアートが調和した独特の空間が広がっています。四季によって景色が変わるため、春の新緑や秋の紅葉の季節には特に美しい景観を楽しむことができます。
原美術館ARCのルーツは、東京都品川区にあった原美術館にあります。原美術館は1979年、日本ではまだ珍しかった現代美術専門館として開館しました。
建物は1938年に実業家原邦造の邸宅として建てられた洋館を再利用したもので、建築家渡辺仁によって設計されました。戦後は一時荒廃していましたが、原邦造の孫である原俊夫によって再生され、美術館として公開されるようになりました。
その後、現代美術の重要な展示施設として多くの企画展を開催し、日本の現代美術界に大きな影響を与えました。しかし建物の老朽化などの理由から、2021年1月に閉館することとなりました。これに伴い、活動の拠点は群馬県渋川市の施設に集約され、現在の原美術館ARCとして新たな歩みを始めました。
原美術館ARCは群馬県渋川市の伊香保地区に位置しており、JR渋川駅から伊香保温泉行きのバスで約15分、「グリーン牧場前」バス停で下車し徒歩約5分で到着します。車の場合は関越自動車道渋川伊香保インターチェンジから約15分とアクセスも良好です。
周辺には伊香保温泉や伊香保グリーン牧場などの観光スポットがあり、温泉旅行と合わせて訪れる観光客も多く見られます。自然豊かな榛名山麓の景観の中で、ゆったりと芸術を鑑賞できる美術館として、多くの人々に親しまれています。
このように原美術館ARCは、現代美術と伝統美術、建築、自然が融合した魅力的な文化施設であり、渋川市を代表する芸術スポットとして国内外から多くの来館者を迎えています。