群馬県 > 渋川・伊香保 > 佐久発電所(桜の名所)

佐久発電所(桜の名所)

(さく はつでんしょ)

渋川市にそびえる水力発電のランドマークと桜の名所

佐久発電所は、群馬県渋川市北橘町分郷八崎に位置する水力発電所で、現在は東京電力リニューアブルパワーによって運営されています。利根川流域の豊かな水資源を活用した歴史ある発電施設であり、地域の産業や生活を支えてきた重要なインフラとして知られています。

また、発電所の周辺は春になると美しいが咲き誇ることで有名で、地域の人々に親しまれる花見スポットでもあります。巨大なサージタンクと満開の桜が織りなす景観は独特の美しさを持ち、毎年多くの見物客が訪れます。

高さ約80メートルのサージタンクが象徴的な景観

佐久発電所の最大の特徴は、遠くからでも目に入る巨大なサージタンクです。高さは約80メートルあり、橘山と並んでこの地域を象徴するランドマークとして知られています。サージタンクとは、水力発電で水圧を調整するための施設で、導水管を流れる水の圧力を安定させる重要な役割を担っています。

現在のタンクは昭和62年(1987年)に建て替えられた2代目で、スマートな円筒形のデザインが特徴です。以前のタンクは繭のような形をした独特の構造で、約60年間にわたり地域のシンボルとして親しまれてきました。現在でも巨大なタンクが山の斜面にそびえ立つ姿は迫力があり、渋川市北橘町の景観を代表する存在となっています。

春を彩る約100本の桜並木

佐久発電所周辺は、渋川市内でも知られる桜の名所として人気があります。導水管の周辺には、樹齢約70年のソメイヨシノが約100本植えられており、例年4月上旬から中旬にかけて見頃を迎えます。

満開の桜と巨大なサージタンクが並ぶ景色はここならではの風景で、工業施設と自然が調和した独特の景観を楽しむことができます。桜の季節には近隣地域から多くの花見客が訪れ、ゆったりとした雰囲気の中で春の訪れを感じることができます。

また、この時期には地域のイベントとして「関水さくら祭り」が開催されることもあり、地域住民や観光客が集まる賑やかな春の風物詩となっています。

利根川と吾妻川の水を利用した発電システム

佐久発電所の特徴の一つは、利根川と吾妻川の両方の水を利用して発電している点です。利根川の水は沼田市岩本にある綾戸ダムで取水され、渋川市北橘町の真壁調整池に一度貯められます。その後、水圧鉄管を通ってサージタンクへ送られ、そこから3本の水圧管路に分かれて山腹を下り、発電所へと導かれます。

一方、吾妻川からの水は金井発電所や渋川発電所を経由し、利根川と吾妻川の合流地点付近でサイフォン方式によって川を横断し、最終的に佐久発電所へ送られます。このように複数の水源を組み合わせることで、安定した発電を行っています。

発電設備の仕組み

発電所には複数の発電機が設置されており、利根川の水は1号機から3号機までの発電機をフランシス水車によって回転させて発電します。さらに吾妻川の水は4号機のプロペラ水車を回して電力を生み出します。

発電後の水は広瀬桃木用水として放流され、その後群馬県内の発電施設で再利用されながら広瀬川となり、再び利根川へと合流します。この仕組みによって水資源が効率的に利用されています。

東洋一とも呼ばれた歴史ある発電所

佐久発電所の歴史は大正時代にさかのぼります。1925年(大正14年)、実業家浅野総一郎が創設した関東水力電気によって建設が始まり、1928年(昭和3年)に完成しました。当時は非常に大規模な発電施設であり、「東洋一の発電所」と呼ばれるほどの存在でした。

1938年には吾妻川からの水を利用した発電も開始され、首都圏への電力供給のほか、利根川対岸に建設された工業施設にも電力を供給しました。発電所の名前「佐久」は、浅野総一郎の妻の雅号から名付けられたと伝えられています。

その後、関東水力電気は日本発送電や東京電力へと引き継がれ、現在は東京電力リニューアブルパワーの施設として運営されています。地元では現在でも、関東水力電気の略称である「関水(かんすい)」という愛称で呼ばれることがあります。

浅野総一郎の銅像が建つふれあい公園

2012年には、浅野総一郎の出身地である富山県氷見市から、浅野総一郎の銅像が寄贈されました。この像は「九転十起の像」と呼ばれ、発電所近くのふれあい公園に設置されています。

銅像は浅野の故郷である氷見市の方向を向いて立っており、渋川市と氷見市の交流を象徴する記念碑となっています。発電所を訪れた際には、この歴史を伝える像も見どころの一つです。

アクセス

佐久発電所へは、JR上越線渋川駅から車で約15分ほどで到着します。周辺には利根川の自然景観や田園風景が広がり、春の桜の季節には特に美しい景色を楽しむことができます。

このように佐久発電所は、電力を生み出す重要な施設であると同時に、歴史や自然の魅力を感じられる場所でもあります。巨大なサージタンクと桜並木が織りなす風景は、渋川市ならではの印象的な観光スポットとなっています。

Information

名称
佐久発電所(桜の名所)
(さく はつでんしょ)

渋川・伊香保

群馬県