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三宮神社(吉岡町)

(さんのみや じんじゃ)

奈良時代から続く歴史ある鎮守の社

三宮神社は、群馬県北群馬郡吉岡町大久保に鎮座する歴史ある神社です。奈良時代に創建されたと伝えられ、古くから大久保地域の鎮守として人々の信仰を集めてきました。現在も地域の人々にとって大切な守り神として親しまれており、春の例祭では獅子舞や神楽などの伝統行事が奉納され、地域文化を今に伝えています。

この神社は、かつて上野国三宮と呼ばれた由緒ある神社であり、地域の歴史や信仰を語るうえで欠かせない存在です。また、社殿や御神体などは貴重な文化財として評価され、昭和63年(1988年)2月22日には吉岡町指定重要文化財に指定されています。

三宮神社の祭神

三宮神社では、次の三柱の神々が祭られています。

彦火火出見命(ひこほほでみのみこと)
少彦名命(すくなひこなのみこと)
豊玉姫命(とよたまひめのみこと)

主祭神である彦火火出見命は、神話に登場する海幸彦・山幸彦の物語で知られる神であり、農業や漁業、生活全般の守護神として信仰されています。少彦名命は医薬や産業の神、豊玉姫命は海の神として知られ、それぞれが人々の暮らしを守る存在として崇敬されてきました。

奈良時代に始まる創建の歴史

天平勝宝2年(750年)の勧請と伝わる

三宮神社の創建は天平勝宝2年(750年)と伝えられています。奈良時代にこの地へ神が勧請されたとされますが、詳しい経緯については明らかになっていません。しかし、古い文献や神道資料から、この地域における重要な祭祀の中心であったことがうかがえます。

伊香保神社の里宮と考えられる神社

中世に成立した『神道集』には、伊香保の神について「女体は里に下り三宮に鎮座する」と記されており、三宮神社は伊香保神社(渋川市伊香保町)の里宮であったと考えられています。山にある神社を山宮、里にある神社を里宮と呼び、山と里の両方で神を祀る信仰形態が存在していました。

伊香保神社は榛名山の火山活動と関係する古い信仰を持つ神社であり、三宮神社はその祭祀を支える里の拠点として機能していた可能性があります。伊香保温泉が発展する以前には、三宮神社が信仰の中心であったとも考えられています。

上野国三宮としての格式

平安時代の法典である『延喜式』の神名帳(927年成立)には、上野国群馬郡の神社として「伊加保神社 名神大」の記載があり、三宮神社は当時の重要な神社の一つとして位置付けられていました。

また古代の歴史書には、伊賀保神(伊香保神)が次第に高い神階を授けられたことが記されています。9世紀には従五位下から従四位上へと昇格し、最終的には正一位という非常に高い位にまで昇叙されました。これは上野国において、貫前神社や赤城神社に並ぶほどの重要な神として扱われていたことを示しています。

御神体と文化財

十一面観音像を御神体とする神仏習合の姿

三宮神社の御神体は、十一面観音像です。像は一木造の立像で、像高は約90センチメートル。丸木から彫り出された仏像で、制作時期は室町時代頃と推定されています。

神社でありながら仏像を御神体とする点は、日本の神仏習合の歴史を示す特徴的な例といえます。古くは神と仏が一体となって信仰されており、三宮神社もその文化を今に伝える貴重な存在です。

江戸時代の本殿

現在の本殿は嘉永年間(19世紀中頃)に改築されたもので、総檜造りの美しい社殿です。一間社流造の建築様式で銅板葺きの屋根を持ち、江戸時代の神社建築の特徴をよく残しています。

この本殿と御神体は歴史的価値が高く、吉岡町指定重要文化財に指定されています。静かな境内に佇む社殿は、地域の歴史を見守り続けてきた風格を感じさせます。

春祭で奉納される伝統芸能

吉岡町唯一の太々神楽

三宮神社では毎年4月第一日曜日に春祭が行われ、地域の伝統芸能が奉納されます。その代表が太々神楽(だいだいかぐら)です。

この神楽はかつて一度途絶えましたが、昭和22年に地元の有志によって復活しました。現在は「三楽講」と呼ばれる保存団体によって受け継がれています。

舞には「戸開の舞」「天浮橋の舞」など日本神話に関わるものや、「蛭児の舞」「天狐の舞」など豊作を祈願する舞があり、全部で11の演目が伝えられています。吉岡町では唯一復活した太々神楽であり、吉岡町指定重要無形文化財にも指定されています。

稲荷流佐々良獅子舞

春祭ではもう一つの伝統芸能である獅子舞も奉納されます。この獅子舞は「稲荷流佐々良獅子舞」と呼ばれ、天正年間(16世紀後半)から続くと伝えられる古い芸能です。

毛獅子と呼ばれる特徴的な獅子頭を持つ三頭の獅子が舞い、笛の音に合わせて太鼓を打ちながら勇壮な舞を披露します。前獅子、中獅子、後獅子の三頭が息を合わせて舞う姿は迫力があり、地域の人々にとって大切な伝統行事となっています。

また、かつては日照りが続いた際に雨乞いの獅子舞として船尾滝へ登り祈願を行ったとも伝えられています。この獅子舞も吉岡町指定重要無形文化財に指定されています。

静かな境内と地域の信仰

三宮神社の境内は、地域の自然に囲まれた落ち着いた雰囲気を持っています。鳥居をくぐると神楽殿や本殿が静かに佇み、古くから続く信仰の空気を感じることができます。

地域の人々にとっては、日常の祈りや季節の行事を行う大切な場所であり、長い歴史の中で変わらず守り続けられてきました。観光で訪れる人にとっても、群馬の歴史や文化に触れることができる貴重な場所となっています。

アクセス

車でのアクセス

三宮神社へは、関越自動車道 駒寄スマートインターチェンジから車で約3分とアクセスしやすい場所にあります。周辺には吉岡町の自然や温泉、観光施設も多く、ドライブの途中に立ち寄る歴史スポットとしてもおすすめです。

奈良時代から続く信仰と地域文化を今に伝える三宮神社は、吉岡町の歴史と魅力を感じられる場所です。静かな境内を散策しながら、古代から続く神々への祈りや地域の伝統文化に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

Information

名称
三宮神社(吉岡町)
(さんのみや じんじゃ)

渋川・伊香保

群馬県