群馬県 » 渋川・伊香保

竹久夢二 伊香保記念館

(たけひさ ゆめじ いかほ きねんかん)

竹久夢二伊香保記念館は、群馬県渋川市に位置する私立の美術館です。この美術館は、大正ロマンを代表する画家であり詩人でもある竹久夢二の作品を展示することを目的としています。竹久夢二は、その独自の画風と詩的な表現で広く知られており、その作品は多くの人々に愛されています。

概要と歴史

竹久夢二伊香保記念館は、群馬県渋川市の伊香保温泉街にあります。榛名山を含むこの地域は、竹久夢二にとって特別な場所でした。彼はモデルのお葉を伴い、この地を旅し、後に榛名湖畔にアトリエを建て、「榛名山美術研究所」の設立を構想したことでも知られています。この記念館は、1981年(昭和56年)5月23日に開館しました。

記念館の展示品は、夢二研究で知られる長田幹雄氏が収集したコレクションを中心に構成されています。絵画、版画、浴衣などのデザイン原画、日記、スケッチ帖など、16,000点を超える資料が所蔵されています。これらの資料は、企画展や出版活動を通じて、竹久夢二の多彩な創作活動を紹介するために活用されています。

さらに、記念館はアンティーク人形(モリムラドール)やオールドノリタケの食器類、古美術品なども所蔵しており、訪れる人々に豊かな歴史と文化を感じさせる展示が行われています。「大正ロマンの森」と呼ばれる広大な敷地内には、さまざまな施設が点在しており、それぞれが夢二の世界を再現しています。

主要施設

本館 大正ロマンの館

「本館 大正ロマンの館」は、1981年に開館した蔵造りの建物で、夢二が挿絵によく描いていた蔵の形をモチーフにしています。白壁を基調とし、なまこ壁が配されたこの建物は、古き良き日本の風情を感じさせます。館内の特別展示室では、『榛名山賦』『青山河』などの代表作が展示されています。

本館 夢二黒船館

「本館 夢二黒船館」は、竹久夢二の代表作『黒船屋』を展示するために1995年(平成7年)11月22日に開館した洋館です。この建物は3階建てで、外観は洋風ですが、日本の伝統的な尺寸法を用いるなど、日本と西洋の要素が融合した独特の建築様式を持っています。

3階の展示室「蔵屋敷」では、夢二の誕生日である9月16日前後の約2週間限定で『黒船屋』が特別公開されます。この特別展示期間以外にも、季節に応じた夢二の作品が展示されています。さらに、「港屋サロン」という喫茶店(3階)やミュージアムショップ(1階)もあり、来館者が夢二の世界に浸りながら、ゆったりと過ごせる場所となっています。

新館 義山楼

「新館 義山楼」は、日本建築の美を追求した美術館で、新建材を一切使用せず、国産木材・和紙・漆喰などの伝統的な材料を使用して建設されました。建物内には、江戸時代から明治・大正時代にかけての和ガラスが展示されており、訪れる人々に日本の歴史と文化の豊かさを感じさせます。また、庭園は、小川治兵衛流による日本庭園で、四季折々の美しさを楽しむことができます。

その他の施設

竹久夢二伊香保記念館には、上記の施設以外にも「別館 夢二子供絵の館」、「迎春庵」、「聴雪庵」などの施設が存在し、夢二の作品やその時代の文化を紹介しています。これらの施設も、夢二の世界を深く理解し、楽しむための重要な役割を果たしています。

主な収蔵品

記念館には、竹久夢二の数々の代表作が収蔵されています。たとえば、1919年に描かれた『黒船屋』や、1908年の肉筆画『BROKEN MILL AND BROKEN HEART』、1911年の版画『緑の丘』など、多岐にわたる作品が展示されています。これらの作品は、大正時代の美術と文化を理解するうえで非常に貴重なものです。

また、夢二がデザインした浴衣やポスター、版画なども展示されており、彼の多才な創作活動を垣間見ることができます。さらに、アンティークのオルゴールや照明器具、人形(モリムラドール)、食器類(オールドノリタケ、ガラス製品など)、ピアノ(スタンウェイ製、ベーゼンドルファー製)など、大正時代を感じさせる様々な収蔵品も見どころの一つです。

アクセス

竹久夢二伊香保記念館は、群馬県渋川市伊香保町544-119に位置しています。東日本旅客鉄道(JR東日本)の上越線または吾妻線の渋川駅から路線バスで約25分の場所にあります。訪れる際には、公共交通機関を利用するのが便利です。

Information

名称
竹久夢二 伊香保記念館
(たけひさ ゆめじ いかほ きねんかん)

渋川・伊香保

群馬県