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塚廻り古墳群

(つかまわり こふんぐん)

塚廻り古墳群は、群馬県太田市龍舞町に位置する古墳時代の遺跡群であり、 古代の地域社会や文化を知る上で重要な歴史遺産として知られています。現在この場所は、 水田地帯の中に整備された古墳公園として公開されており、古代の人々の暮らしや葬送儀礼を 身近に感じることができる貴重な観光スポットとなっています。

この古墳群は、6世紀中頃から後半にかけて築かれたと推定されており、 当時この地域を治めていた在地の首長層(むらおさ)の墓であったと考えられています。 特に第4号古墳は保存状態が良く、群馬県指定史跡となっており、 出土した埴輪群は国の重要文化財に指定されています。

塚廻り古墳群の発見と調査

水田の下から見つかった古代遺跡

塚廻り古墳群が本格的に確認されたのは、昭和52年(1977年)に行われた 県営圃場整備事業に伴う発掘調査でした。調査の結果、 この地の水田の地下から7基の古墳が発見されました。

現在この地域は平坦な田園地帯となっていますが、 古墳時代には北西から南東に向かってゆるやかに傾斜する 低い台地であったと考えられています。 その後、洪水による泥流などによって地形が変化し、 古墳が土砂に覆われてしまったと推定されています。

さらに平成22年(2010年)の調査では、 弘仁9年(818年)の洪水による堆積層の下から 新たに4基の古墳が確認されました。 この発見により、この周辺にはまだ多くの古墳が 存在している可能性が高いと考えられています。

塚廻り古墳群の構成

多くの古墳が集まる群集墳

塚廻り古墳群では現在までに13基の古墳が確認されています。 その多くは帆立貝形古墳や円墳で構成されており、 規模は直径10メートルから20メートルほどです。

古墳の多くは農地開発によって削平されましたが、 第4号古墳と第3号古墳の一部は保存され、 現在は復元整備されています。

主な古墳の特徴

・1号墳:全長26.1mの帆立貝形古墳(削平)
・2号墳:全長24mの帆立貝形古墳(削平)
・3号墳:帆立貝形古墳(前方部一部保存)
・4号墳:全長22.5mの帆立貝形古墳(復元保存)
・7号墳:直径20mの円墳

このように複数の古墳が集まる形態は 群集墳と呼ばれ、地域の有力者一族の墓地であった可能性が 高いと考えられています。

塚廻り古墳群第4号古墳

復元整備された代表的な古墳

塚廻り古墳群の中でも特に重要なのが 第4号古墳です。 この古墳は昭和52年の発掘調査によって発見され、 現在は古墳公園として復元整備されています。

第4号古墳は、主軸長22.5メートルの 帆立貝形古墳で、 後円部の直径は17.7メートル、 前方部の幅は8.7メートルあります。

後円部では2基の埋葬施設が確認され、 箱式石棺が設置されていたと考えられています。 しかし石棺内部の骨や副葬品は 発見されませんでした。

全国的に有名な埴輪群像

第4号古墳の最大の特徴は、 多数の埴輪が出土したことです。 総数は304本にのぼり、 その内訳は円筒埴輪253本、 形象埴輪35本などとなっています。

形象埴輪には、人物、馬、大刀、盾、家など さまざまな種類があり、 当時の儀式や社会の様子を知る 重要な資料となっています。

特に人物埴輪では、 杯を捧げる女性、椅子に座る男性、 馬を引く人物など、 細かな表現が見られます。 髪型や衣装まで丁寧に作られており、 古代の芸術性の高さを感じさせます。

埴輪の配置

後円部には円筒埴輪が並び、 その外側には大刀と盾が交互に配置されていました。 また前方部には人物埴輪や馬形埴輪が 並べられており、 古墳祭祀の様子を再現する 非常に貴重な資料となっています。

古墳公園としての魅力

埴輪のレプリカが並ぶ歴史公園

現在、塚廻り古墳群第4号古墳は 古墳公園として整備されており、 埴輪のレプリカが当時の配置を参考に 再現されています。

帆立貝形の美しい墳丘の周囲に 円筒埴輪や人物埴輪が並ぶ光景は、 まるで古代の祭祀の場面を 再現しているかのようです。

訪れる人は、 古墳時代の人々がどのような 信仰や儀式を行っていたのかを 想像しながら散策することができます。

古代への想像をかき立てる空間

現地でコンパスを確認すると、 古墳の主軸はほぼ正確に 東西方向に向いています。 埴輪も西の方向を向いて配置されており、 太陽の沈む方向と関係している可能性が 指摘されています。

こうした配置には、 古代の信仰や死生観が 反映されていると考えられており、 訪れる人の想像力をかき立てます。

太田市と古墳文化

古墳の多い地域

太田市には、 3世紀から7世紀にかけて築かれた古墳が 約1200基確認されています。

その中には東日本最大級の前方後円墳である 天神山古墳もあり、 この地域が古墳時代の重要な拠点であったことが わかります。

観光スポットとしての見どころ

歴史と自然を感じる散策

現在の塚廻り古墳群は、 広々とした田園風景の中にある 静かな歴史公園です。

低い墳丘と埴輪の並ぶ風景は 独特の雰囲気があり、 古代の歴史を身近に感じながら 散策を楽しむことができます。

また、出土した本物の埴輪は 群馬県立歴史博物館群馬県埋蔵文化財調査センターで 展示されていますので、 古墳公園とあわせて見学すると より理解が深まります。

太田市の埴輪

群馬県太田市は、古墳時代の遺跡が数多く残る地域として知られており、特に埴輪(はにわ)文化が発達した地域として全国的にも重要な場所です。太田市内では、これまでにおよそ1200基以上の古墳が確認されており、その多くから埴輪が出土しています。こうした豊富な出土品は、古墳時代の社会や信仰、当時の生活文化を知るうえで非常に貴重な資料となっています。

埴輪とは何か

埴輪とは、古墳時代(3世紀から7世紀頃)に、権力者の墓である古墳の周囲や墳丘の上に並べて立てられた素焼きの土製品のことです。もともとは円筒形の単純な形をしたものが中心でしたが、時代が進むにつれて、人物・動物・家・武器など、さまざまな形をした形象埴輪が作られるようになりました。

埴輪には、墳丘を保護する役割や、祭祀・儀礼の象徴としての意味があったと考えられています。また、当時の人々の服装や武具、生活様式を表現しているものも多く、考古学や歴史研究において重要な資料となっています。

群馬県における埴輪文化の発展

群馬県は、全国でも有数の埴輪文化が栄えた地域として知られています。県内では、これまでに1万3千基以上の古墳が確認されており、その多くから埴輪が出土しています。

特に特徴的なのは、近畿地方などでは埴輪の製作が衰退していった時期にも、群馬では盛んに作られ続けた点です。そのため、群馬県には非常に多様で芸術性の高い埴輪が残されており、日本の古墳文化を理解するうえで欠かせない地域となっています。

太田市で出土した代表的な埴輪

太田市では、塚廻り古墳群をはじめ、市内各地の古墳から数多くの埴輪が発見されています。これらの埴輪は、人物・動物・武具・家などさまざまな種類があり、当時の社会や儀礼の様子を生き生きと伝えています。

塚廻り古墳群では、人物埴輪・馬形埴輪・家形埴輪・武具埴輪などが多数出土しました。例えば、杯を捧げる女性像や、跪く男性像、馬を引く人物など、儀礼の場面を思わせるような埴輪が見つかっています。これらの埴輪は、髪型や衣装の細かな表現まで丁寧に作られており、古代の人々の姿を想像させる貴重な資料です。

こうした埴輪群は、出土した位置関係が比較的明確に分かっていることから、古墳上での埴輪祭祀の配置や儀礼の様子を研究するうえで非常に重要な価値を持っています。そのため、塚廻り古墳群から出土した埴輪の多くは、国の重要文化財に指定されています。

有名な「挂甲武人埴輪」と上野地域

群馬県は、全国でも特に優れた人物埴輪が多く出土する地域としても知られています。その象徴的な存在が、武装した人物を表現した「挂甲武人(けいこうぶじん)埴輪」です。

挂甲武人埴輪は、甲冑を身につけた武人の姿を表した埴輪で、古墳時代の武装や軍事文化を知るうえで重要な資料です。精巧な表現と歴史的価値の高さから、古墳時代の埴輪として初めて国宝に指定されました。

このように、上野国(現在の群馬県)一帯は、埴輪文化が非常に発展した地域であり、太田市周辺でも高度な技術を持った埴輪職人が活躍していたと考えられています。

現在の展示と見学

塚廻り古墳群から出土した埴輪の多くは、現在群馬県立歴史博物館群馬県埋蔵文化財調査センターで大切に保管・展示されています。実際の埴輪を間近で見ることによって、古代の人々の文化や芸術性の高さを感じることができます。

また、塚廻り古墳群の現地では、復元された古墳とともに埴輪のレプリカが配置されており、古墳時代の祭祀の様子を体感することができます。広大な水田地帯の中に静かに佇む古墳は、訪れる人々に悠久の歴史を感じさせてくれる場所となっています。

古代文化を伝える貴重な遺産

このように、太田市で出土した埴輪は、単なる土製品ではなく、古代の社会や信仰、芸術文化を今に伝える貴重な歴史遺産です。塚廻り古墳群を訪れると、1500年以上前の人々がどのような思いで古墳を築き、どのような儀礼を行っていたのかに思いを馳せることができます。

まとめ

塚廻り古墳群は、 古墳時代の社会や文化を 今に伝える貴重な歴史遺産です。

復元された第4号古墳や 多彩な埴輪群像は、 古代の祭祀や人々の暮らしを 具体的に想像させてくれます。

太田市を訪れた際には、 静かな田園の中にたたずむ この古墳公園を歩きながら、 約1500年前の歴史に思いを馳せる 特別な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

Information

名称
塚廻り古墳群
(つかまわり こふんぐん)

館林・太田

群馬県